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第268回 最近の環境政策を巡って−その3−
(2007年3月5日)
では、具体的にはどのような取締りが行われているのでしょうか。2006年2月、環境保護総局と監察部は2006年第1次公開監察処分案件として以下の4件(①黒龍江省海林市雪原酒業社などの牡丹江汚染事故 ②山西省忻州市所轄区県の環境保護法に違反した政策規定 ③貴州省・湖南省・重慶市の境界地区のマンガン汚染 ④甘粛省楡中県百美紙業社の環境汚染)を発表し、期限までに改善しない場合は<環境保護法法規違反行為処分暫定規定>に則り関連地方政府・関連部門責任者の責任を追及する、と表明しました。同年9月には、第2次として吉林省長白山精細化工社牤牛河汚染などの汚染や違法政策・規定に関わった6案件を発表しました。こういった動きは全国的に波及し、5月以来3ヶ月の間に省・市・県レベルで公開監察処分になった環境事件は5116件に上りました。
過去に遡った再チェックも始まっています。環境保護総局は第10次五カ年計画(2001〜2005年)期間中に認可を受けた2453件の建設プロジェクトに対し“三同時”(建設プロジェクト中の環境保護施設は主要工事と同時に設計・施工・稼動すること)に沿っているかどうか克明に調査していましたが、その中で山西省呂焦化学工場など8件の重大な違反を発見、2006年10月にこれらの企業に対し生産停止や改善命令を出しました。
こういった動きの中で2006年に目立ったのは上記山西省呂焦化学工場のような化学・石油化学工業に対する重点的な取締りが強化され始めたことでしょう。同年2月、環境保護総局の潘岳副局長は、河川に沿って設置されている問題企業11社を公開監察処分とし、“三同時”に違反した10プロジェクトを摘発し、河川湖沼沿岸・人口密集地区・自然保護区などにある127の化学・石油化学工業プロジェクトに対し環境リスク調査を行う旨発表しました。
また、同年8月からは工業パークに対する徹底調査と、環境基準の引き上げ・排出費用違法減免措置の取り締まり強化なども開始されました。違反企業には厳しい処分を科す方針で、ここでも化学・石油化学工業に対する風当たりが特に厳しくなって来ています。
2006年10月9日、中国初のクリーン生産国家基準GB/T20106−2006が公布されました。中国環境行政にも新たな風が吹きつつあるようです。