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第283回 電力問題は解決したか
(2007年7月2日)
2006年6月、国務院は『中国電力発展状況』を発表、「2002年6月以来48ヶ月続いた全国の電力不足が解消に向かい、同年下半期には全体として需給が拮抗するバランスの取れた状態になるという歴史的転換点を迎えるだろう」との予測を発表しました。
それまで48ヶ月間、電力需要はGDPの成長速度を上回る勢いで2ケタ成長を続け、供給が追いつかない状況でしたが、発電設備の増強が進み、2005年末までの5億0841万kWの発電能力に加え、2006年には7200万kWの新規増加が見込まれていました(2006年末の実際の発電能力は6億2200万kW)。加えて、過去大きな問題になっていた火力発電用石炭の在庫にゆとりが出、更には水力発電や原子力発電など多様な発電設備の開発投入、電力消費節約対策の進展などがあり、事態の改善が見込まれるようになったのです。
発表の席上、張国宝国家発展改革委員会副主任は「今年の夏は電力制限は起こらない。1200万kW不足との声もあるが、もしどこかで不足したら、私に教えてください」と大見得を切りました。
結果はどうだったのでしょうか。国家電網公司によれば、2006年夏(6〜8月)は6月に入ってまず、河北省・浙江省・広東省・雲南省などで電力制限が発生するなど12の省レベルで電力制限が発生しましたが、その量は前年同期比58.57%と大幅に減少しました。チベットのラサ市で、急速な経済成長に発電所建設が追いつかず、同年11月以降、頻繁に停電が起きる事態が発生しましたが、こういった局地的な例を除けば、全体として改善に向かっていたことは確かです。
その11月、国務院は第11次5カ年計画期間中の電力体制改革の基本原則を承認し、中国の国情に合った統一開放された電力市場の建設を加速させ、市場経済に相応しい電力価格メカニズムを形成することを打ち出しました。同年1月に国家電力監督管理委員会が華能国際電力株式会社大連発電所と上海石洞口第2発電所に全国で初めて電力業務許可証を交付、市場参入許可制度を始動させたことはその証左と言えましょう。
ただ一方では、電力不足を当て込んだ発電所建設ラッシュの結果、早晩、電力が供給過剰になると見られ、小規模発電所をどう淘汰するか、その手腕が問われています。