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第285回 企業の社会的責任と企業文化−その1−
(2007年7月17日)
2007年3月19日から人民日報で“聚焦企業社会責任”(企業の社会的責任ズームアップ)というシリーズが始まりました。編者は巻頭の辞で次のように率直に指摘しています。
「去年から、国家電網・中国移動・中国石油・浦東開発銀行など『企業社会責任報告』を発表する中国企業が増えている。中国建築一局グループのようにISO社会責任規格に積極的な企業もあり、企業の社会的責任は社会の注目の的になっている。−中略−近年、わが国の経済成長モデルの転換に直面し、(中国の)企業には、発展を前提としつつも、人に優しい調和した持続可能な発展が求められるようになった。企業が社会的責任を担うことは、国際競争において必要なだけでなく、国内の発展方法の変化によるニーズでもある。−中略−残念ながら社会的責任が何を指すか、多くの企業がてんで解っておらず、間違った解釈さえある。また、社会的責任を強調すれば企業の負担増になるばかりだ、と考える認識の非常に低い企業も多い。−後略−」
また、陳英中国企業連合会副理事長は、同じ紙面の『社会的責任の履行は企業の義務』と題する文章の中で、「企業は経済主体であるのみならず、社会の一部であり、社会の様々な利益関係の中で従業員・消費者・地域社会・社会に対する責任を負い、協調的な労使関係・公平な競争が保たれる市場・持続可能な発展ができる環境を築く責任を負わなければならない」と力説しました。
2005年末、国務院国有資産監督管理委員会の音頭取りで『中国企業社会責任連盟』が成立、『2005年中国企業社会責任フォーラム』が開催され、国内最初の『中国企業社会責任基準』が制定され、更に『中国企業社会責任北京宣言』が発表されました。宣言の内容は6項目に分かれ、その第3項には「企業はまず人権の倫理を履行し、工場の搾取労働を禁止し、従業員の生命と健康を害する生産行為を禁止し、ステークホルダーの道徳的要求を擁護し、更に環境倫理・生命倫理・技術倫理・ネット倫理・異なる文明間の交流倫理を守り、誠意ある経営をし、誠意ある取引をし、相手を欺かず、信用を守り、また、積極的に所在地域の建設事業を支持し資金援助し、現地政府をできる限り援助しなければならない」と記されています。では、昨年来、具体的にどんな取り組みがあったのか、それは次回に。