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第二十九回 三峡ダム建設の現状
1994年12月に正式着工された長江三峡ダム建設工事。17年の歳月をかけ、2009年に完成が予定されているこの工事は、1997年11月に流れが堰きとめられ、1998年からは、2003年の貯水、発電、船の航行開始に向け、主要工事期間に突入しました。今年は8つの大工事が始まり、79項目、総額52億元に上る入札が行なわれます。
このダムの建設で大量に発生するのが、その数、113万人と言われる大量の移民たち。
今、その第一段階として、初期貯水水位135メ−トル以下の住民の移住作業が急ピッチで実行されています。政府は2001年3月1日、“長江三峡工事建設移民条例”を公布し、移民プロジェクトはこれまでに無い高まりを見せ始めました。
移民の85%を抱える重慶市では、市内部への移民に加え、他地区への移民も積極的に推進し、長江中流域、華東地域はもとより、山東省、福建省、広東省など、10以上の省や市に移民を行っています。また、移民には、おおむね一人当たり1ム−(15分の1ヘクタ−ル)の土地、20平方メ−トルの居住面積が与えられています。
移民の他にも解決すべき問題が山積しています。その1つが、ダムに沈む地域の施設の撤去やごみ処理。ダム地区だけでも生活ゴミ210万トン、工業個体破棄物3000万トンと言われ、重慶市では年内に、8万4千ヶ所の汚染源、760ヶ所の屠殺場、多くの墓地や疫病発生源を処理しなければなりません。
一方、政府は昨年末、「三峡水汚染防止プロジェクト」(2001〜2010年、総投資額392億元)をスタ−トさせました。2010年までに、ダム地区だけで151ヶ所の汚水処理施設、171ヶ所の生活ごみ処理施設を建設し、長江沿岸各都市にも、同様な施設を建設します。また、25度以上の傾斜面は工作を禁じて林などに戻す方針も固めています。
もう1つの問題が、ダム建設に関連して閉鎖された企業の従業員の再就職問題です。今、北京の博華、上海の白猫、広東の格力など、全国の有名企業が三峡地区支援のため、同地区への進出を決め、積極的なサポ−トを展開しようとしています。
ただ、その反面、移民対策費の流用や、移住先の施設の不備、アフターケア不足なども各地で報告されていて、きめの細かい援助がきちんと持続されるかが問われています。