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第290回 自動車産業の動きと日本企業への関心−その1−
(2007年8月27日)
中国の自動車産業は年々急速の発展を遂げ、自動車販売量は2005年の575.82万台から2006年には721.60万台に増加(前年比25%増)しました。ドイツを抜き世界第三位の生産国になり、世界第二位の自動車市場になりました。一方で、成長を当て込み、かつ生き残りをかけたシェア獲得競争で生産能力増強が相次ぎ、2006年初めに自動車産業は生産能力過剰産業リストに組み込まれ、12月には投資許可と強制的技術基準の両面から新規工場建設に規制が加えられ、また、企業の生産能力と販売量にも公示制度が確立されました。
2006年はまた、中国が自主ブランド開発に真剣に取り組み、官民一体となって輸出へ取り組み始めた年でもあります。2006年の中国製自動車輸出台数は30万台を突破しましたが、輸出先はアジア・アフリカ・南米・中東など発展途上国がほとんどで、品質やアフターサービスなど様々な問題も抱えています。また、輸出企業1175社のうち204社が輸出台数1台のみ、半数(669社)が10台未満で、2007年1月、国は『自動車輸出秩序の規範化に関する通知』を出し、質の向上に取り組む決意を示しました。
こうした動きの中で、最近、日本企業、特にホンダとトヨタを積極的に評価する記事が人民日報にちょくちょく掲載されるようになりました。そこでは何が評価されているのでしょうか。まず、ホンダについてみてみましょう。
2006.11.18付の人民日報は、福井社長の「単に販売量や製造ラインの増加を求めない。それぞれの車種がブランドモノになることに全力を尽くすのであって、理想はある1車種で100万台を突破することだ」と言う話を紹介、「よく吟味すると実に経済規律に合致している」と評価しています。
また、広州ホンダの現有生産能力はそれほど高くはないが、それが同社の発展を制約しているどころか、「アフターサービスと技術技能コンテストを実施し、より専門化された特約店によるサービス網を構築し、全国に3大ビジネスセンターを設け、物流を改善し輸送コストを減らす」(広州ホンダ執行副総経理談)等等、じっくり腰を据えてその能力を高め、未来の発展のためにチャンスを作り出しているその姿勢は、新車種のお披露目合戦という悪循環に陥っている他の企業にとって良い参考になるだろう、と結んでいます。