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 第292回 青少年教育への取り組み

(2007年9月10日)

2007年6月1日から、『中華人民共和国未成年者保護法』が改正施行されました。中国で同法が最初に施行されたのは1992年1月1日でしたが、以来既に14年を経過し、現状に即応した手直しが急務になっていました。今回の改正では従来の56条から6条が削除され、新たに25条が加わり、合計75条と大幅に内容が拡充されました。また、32条に修正が加えられました。
新『中華人民共和国未成年者保護法』は総則、付則をあわせて7章からなり、第2章「家庭保護」第3章「学校保護」第4章「社会保護」第5章「司法保護」、更に罰則を定めた第6章「法律責任」となっています。その中で、第3条では「未成年は生存権・発展権・被保護権・参与権などの権利を持ち、国は、未成年者の心身の発展の特徴に基づいて特別かつ優先的な保護を与え、未成年者の合法的な権益が侵害されないよう保障しなければならない」と規定されています。
中国でも、最近、テレビやネット上で暴力や色情を煽るような内容が急増し、大きな社会問題になっています。第3条に記された「発展権」にはまさにそういった、青少年の健全な成長を阻害する低俗な内容の浄化、といった側面を強化する意味合いが含まれています。ただ、これには「表現の自由」と言う問題もからんでくるわけで、その意味では今後も大いに論議を呼ぶことでしょう。
また、第39条では「いかなる組織や個人も未成年のプライバシーを公表してはいけない」と規定し、未成年の手紙・日記・メールなどに対しても、これを隠したり、破棄したり、閲覧することに対して厳しい規制を加えました。
インターネットにのめりこんで様々な問題を起こしたり、テレビや映画の影響で“追星族”「追っかけ」になったり、テレビの「スタ誕」式番組に夢中になって、自らもスターを夢見たり、若者世代と大人たちの距離は遠のくばかり。その一方で、一人っ子に対する親の重圧から若者の自殺が急増し、大学レベルでもカウンセラーは大忙し。2007年1月6日付人民日報に、鞍山科技大学の“補導員”張春霞さんの奮闘ぶりを紹介する記事が掲載されましたが、こういった学生相談員の果たす役割も今後、益々重視されることでしょう。

三瀦先生のコラム