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第294回 考古学上の重大発見—この一年—
(2007年9月25日)
特筆大書すべきは、寧夏回族自治区の霊武で発掘された“梁竜類”の恐竜化石でしょう。 “梁竜類”は最大級の恐竜で、1.5億年前のジュラ紀中晩期から白亜紀にかけて生息しました。今回の発見が注目されるのは、これまで主に南半球でしか発見されなかった“梁竜類”がアジアで最初に発見されたことです。ジュラ紀中晩期は、プレートテクニクス理論によれば、世界が一つの大陸から漸く分離し始めた時期であり、北半球でも発見されたことで大陸漂流説に新たな根拠を与える重大な発見になります。
安徽省蚌埠市の禹会村は、夏王朝の始祖である禹にまつわる有名なエピソードが伝わる土地ですが、これまでは単なる伝説としてしか信じられていませんでした。しかし、1981年にここで竜山文化の遺跡が発見され、2006年、中国社会科学院の試掘により、50万平方メートルにも及ぶ遺跡規模と2000平方メートルの大型建築跡が確認されました。竜山文化時期は夏・殷・周の古代王朝期への橋渡しとなる時期で、中国人にとっては、まさにその伝統と文化の起源を探る重要な研究対象といえます。
紙を発明したのは後漢の蔡倫、という定説を覆す発見がありました。数年前に敦煌で発見された麻紙は字が書かれていなかったので、当初、紙として認識されませんでしたが、その後、文字が20あまり書かれている紙片が発見され、その内容から蔡倫より先立つこと113年、前漢成帝期(紀元前8年)の麻紙であることがわかりました。
2005年春に西安財経学院工事現場に出現した南北550メートル・東西310メートルに及ぶ中国第2の巨大な墳墓。その後の調査で秦の始皇帝の祖母夏太后のものに間違いなさそうだ、と言うことが判明しました。山西省では春秋の五覇の一人で有名な晋の文公の墓も発見され、歴史ファンのロマンを掻き立てました。
最近、お宝を積んだ沈没船の発見と引き上げが次々と話題になっています。広東省陽江市東平市の南20海里で1987年に発見された800年前の沈船“南海一号”、西沙群島で発見された南宋期の沈船“華礁一号”はいずれもが数万点の陶磁器を積んでおり、2007年5月に発見された“南海二号”も宋・元・明にわたる陶磁器が一万点以上と推定されています。今年からの引き上げでどんな珍品が飛び出すか、好事家には眼が離せません。