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第295回 非公有制企業の伸張−その1−
(2007年10月1日)
2005年2月に国務院から、中華人民共和国建国以来初めて非公有制の発展促進を主旨とした文書、『個人経営等非公有制経済の発展を奨励し支え導くことに関する若干の意見』(通称“非公36条”)が出され、大いに注目されました。あれから2年余りが過ぎ、民営経済は益々急速な発展を遂げています。2007年1月に開催された2006年度中国民営経済形勢分析会の報告によれば、全国の私営企業は494万7千社、従業員数は6395万5千人で、その輸出入総額は2436億元(全国輸出入総額の13.8%、前年比46.5%増)に上り、個人経営の商工業企業は2576万2千軒、GDPの40%を創出し、納税総額は1194億7千元(前年比18.6%増)に達しています。
中国のGDPの60%を占め、年間経済発展増加量の70〜80%を占めるに至った民営経済が今特に重視されつつある最大の理由は、現在の中国社会が抱える大問題、就職問題解決の切り札だからです。都市と農村の格差を解消するためには、農村に新しい産業を興すとともに、膨大な余剰労働力を農業以外の分野で吸収していかなくてはなりません。また、就職難に喘ぐ大学生にも就職先として期待されているのです。
2007年1月9日付人民日報に掲載された記事は、毎年の新規就業予定者40万人余り、現有失業者30万人余り、農村余剰労働力200万人余りを抱える山西省の取り組みを紹介しています。それによると、山西省各地に展開する永済牛肉餃子チェーン店が2500人余りを採用するなど、類似企業は8800社を数え、10万人の雇用を創出したとか。このような動きを促進するため、省政府は、信用担保・法律相談・情報ネットワーク・起業指導・従業員の訓練・業界団体という6つの面のサポート体制を整備し、省の中小企業局は50余りの県、3000の農村で起業訓練を行い、技術指導を行い、毎年1万の小企業を育成、12万の雇用を創出する目標を立てています。
こういった動きがある一方、“非公36条”の示された内容が着実に実現しているかと言うと、その状況は理想とはかけ離れた状況で、様々な不公平、隘路が指摘されています。目に見えぬ、これら“玻璃門(ガラス)現象” と呼ばれる障壁とはどんなものか、それらを克服すべくどういった取り組みが行われているかは次回に。