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第299回鉄鋼業界の動向-その1-
(2007年10月29日)
2006年6月のアルセロール・ミタル社の誕生は世界に衝撃を与えましたが、中国でも既にミタル社が湖南省の華菱管線社の株36.673%を、アルセロール社も莱蕪鉄鋼の株38.41%を取得しています。世界的な鉄鋼業界再編の中、中国政府は2005年7月に国内の業界再編に向け『鉄鋼産業発展政策』を打ち出し、2010年に年産3000万トンクラスの超大型企業を二つ誕生させる目標を掲げました。これを受け、同年8月:鞍山鉄鋼と本渓鉄鋼が鞍本鉄鋼に/10月:首鋼と唐鋼が合弁で首鋼京唐鉄鋼社を設立し曹妃甸に年産1500万トンの鉄鋼基地を建設/12月:柳州鉄鋼と武漢鉄鋼が武鋼柳鋼連合になり、防城に1000万トン級の鉄鋼基地を建設/2006年1月:宝鋼と馬鋼が戦略的提携/2月:河北省、唐鋼・宣鋼・承鋼が河北唐鋼(年産1607万トン-2005年実績)に/3月:宝鋼と新疆八一鉄鋼が戦略的提携/7月:山東省、済鋼・莱鋼合併計画実施段階に、と再編が加速、最近でも2007年7月に宝鋼と包頭鉄鋼の戦略的提携が実現しました。
2006年、中国の鉄鋼業は史上最高の利潤を達成(税込み利益2795億元、前年比23.95%増)、粗鋼生産量は4億1878.2万トン(前年比18.48%増)で、世界全体の33.79%を占め、12年連続鉄鋼生産世界一を占めました。しかし、その一方で、製鉄企業は6686社(2005年末)を数え、例えば唐山1市だけでEUを上回る製鉄企業があるなど、零細で設備の粗末な中小規模の企業が多く、上位4社の粗鋼生産に占める割合は、日本75%・EU72%などに比べわずか18.52%しかありません。“三高両低” (エネルギー消費・汚染度・対外依存度が高い/集中度・付加価値が低い)で「質が悪く、品種が少なく、利益効率が低い」というのが中国鉄鋼業に対する評価になっているのです。
国家発展改革員会は1080万トンの製鉄能力と480万トンの製鋼能力を停止させることを目標とした、18の省区との『旧式鉄鋼生産能力(第2陣)の停止と淘汰に関する責任書』調印に向けた協議を2007年5月から開始しました。鉄鋼生産量全国一の河北省は、2006年に国家発展改革委員会などが連名で発した『河北省新規増鉄鋼生産能力の整理による鉄鋼業構造調整に関する通知』に則り、2007年末までに26社を淘汰する方針で、電力や水の差別価格や違反企業に対する営業停止処分・水や電力の供給停止といった強硬手段も辞さない覚悟です。