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第三回 靖国参拝と中国の反応
−人民日報の読み方−
2001年は、台湾の李登輝前総統の訪日問題、歴史教科書の問題、ネギやシイタケなどのセ−フガ−ドの問題、小泉首相の靖国神社参拝問題などが次々に生じ、日中関係が大きく揺れ動いた年でした。
セ−フガ−ドの問題では、中国側が報復措置として自動車、携帯電話、エアコンに100%の特別関税をかけ、靖国問題では、中韓の激しい抗議の中、15日を避けて参拝する、という妥協が図られました。
様々な摩擦に遭遇する中、日中両国間には、経済を中心とした互いの利益を損なわないためにも、いたずらに事態を激化させたり長引かせないように、との暗黙の配慮も垣間見られました。
例えば、靖国問題で中国共産党機関紙人民日報は、7〜8月にかなりの抗議記事を掲載しましたが、過去の、李登輝氏の「特殊な2つの国論」や法輪功事件の時のような、どのペ−ジをめくっても批判記事が有る、といった執拗な糾弾とは些か異なり、記事はほぼ、一面と国際欄に限定され、内容も韓国や外地の抗議行動を紹介するといった間接的批判が大半を占めました。
首相参拝後も、数日は激しい批判が続いたものの、8/17には、"ギョウザ作り競争"という、佐世保での微笑ましい日中友好記事が掲載され、その後は1日1編の割合で、冷静、客観的な日本社会の分析記事が掲載されました。それは、むしろ読者に対し、いたずらに熱くならず、理性的に日中関係を捉えることを呼びかけているようでした。
溯る6月19日、同紙は、日本のODAの中国での貢献内容を詳しく紹介しました。これまでの巨額の援助がちっとも国民に伝えられていないじゃないか、という日本からの批判、また、対中ODA削減の声に配慮したものであることは言うまでもありませんが、その率直かつ懇切丁寧な紹介ぶりを、日本のメディアも、もっとしっかり、日本国民に伝えるべきでしょう。
また、日中文化交流協会会長団伊玖麿の葬儀が行われた6月21日には、その様子をつぶさに報道し、その功績を称えてもいます。