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 第三十回  中国漁業の現状

近年、交通インフラが急速に整備され、冷蔵、冷凍コンテナなど輸送技術も向上したことで、内陸部の住民も水産物を容易に口にすることができるようになりました。水産物は穀物を大量消費する蓄肉に比べ、陸地の自然環境保護に有利。このため、中国漁業はこのところ目覚しい発展を遂げてきましたが、21世紀に入り、幾つかの難問に直面しています。
 第一に、乱獲による近海資源の枯渇です。政府は8年前から沿海地区で夏季の禁漁を実施、昨年は11万7千艘、120万人が参加しました。更に、漁業資源を育てるため、昨年7 月、珠海近海に初めて人工漁礁を投入、また、寧波では、百万匹の稚魚を放流しました。    
淡水資源の保護も重要です。青梅湖は、2001年〜2010年の10年間、禁漁することになりましたし、長江では、今年の4/1〜6/30の間、春の禁漁が実施されています。  
 第二に、日中、日韓漁業協定の発効があります。これに伴う中国の漁獲高の減少分は40 〜50万トンに上ると推定され、これに対処するため、中国政府は今、漁船の減船と漁民の転業を推進しています。
漁業の盛んな舟山市では、3年間で359艘を廃船にし、1200人の漁民を転業させる方針。政府も、全国の転業漁民を支援するため、3年間で2億7千万元を支出することを決定しました。また、養殖にも力を入れ、2005年には漁獲高の3分の2を養殖とする計画です。ただ、アモイなど、過密な養殖による海水の富栄養化で養殖魚の死滅もたびたび報告されるなど、適切な指導の必要も叫ばれています。
 春の全人代で、海南省の代表から、漁業資源の豊富な南沙群島での漁獲を積極的に推進するよう意見が出されましたが、これを強行すれば、東南ア諸国との軋轢が生ずることは必至でしょう。そこで、大きな期待がかかるのが、遠洋漁業。1985年に初めての船団を送り出して以来、中国の遠洋漁業は着実な発展を遂げていて、日本の強力なライバルになる日も目前に迫っています。
 持続可能な発展と漁民の収入増を2大目標に掲げる漁業改革ですが、昨年6月に発表された第1回漁業生態環境状況広報によれば、漁業汚染事故による損失は毎年、漁獲高50万トン、30億元に上るとも。ここでも、足元の環境保護が急務になっています。

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