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 第300回鉄鋼業界の動向-その2-

(2007年11月5日)

再編が進む鉄鋼業界ですが、克服すべき問題も山積しています。中国国内では、各地域に製鉄会社があり、これを統合整理しようとすれば、当然、地域の枠を超えた再編が必要になります。その場合、国有企業の“統一所有、分級管理”という国有資産の管理体制に起因する各行政レベルの利害の調整が必要ですし、合併によって企業の主要部門が地域外に移転した場合、明らかにその地方の税収に影響するという問題も障害となって立ちふさがります。もちろん、お山の大将を続けたい各企業トップの保身願望も主な弊害の一つになっています。したがって実力に大きな差がある強弱連合ならまだしも、国際競争力を高めるための強強連合となるとそう簡単には話が進みません。
こういった状況下で注目されたのが既述の宝鋼と新疆八一鉄鋼との提携(2006.3)及びその後の宝鋼と邯鄲鉄鋼との提携です。前者は宝鋼が八一鉄鋼に対し30億元を増資して69.61%の株を取得し、八一鉄鋼の発展計画を宝鋼の総合計画に組み入れるというもので、中国鉄鋼業界にとって地域の枠を超えた初めての大規模な企業買収になりました。しかし、邯鄲鉄鋼との提携では、当初、2006年に宝鋼が邯鋼の株を買収しようとして河北省側の抵抗に遭い、失敗に終わりました。そこで今回は提携方式を改め、共同で邯鋼邯宝社を設立、宝鋼が河北省邯鄲新区に100億元を投じて500万トンクラスの生産基地を建設することにしました。この方法なら地方政府の同意が得やすくなり、再編に弾みがつきます。
企業再編の眼目は各企業の技術面や市場における優位性を組み合わせ、補完関係を強化することにありますが、それが円滑に作用するためには、企業双方の融和が不可欠になります。企業の提携合併時代を迎えた中国で、異なる企業文化を衝突させることなくいかにして協調融和させるかが次なるテーマとして大きくクローズアップされてきます。
既に10社以上の企業と提携関係を結んでいる四川省の国有企業攀鋼グループは、合併した際、相手企業の自主性を重んじ、ごく一部の主要人員を派遣するのみで、相手企業の自主性を最大限尊重する一方、100万元を投じて各企業との通信システムを整備し、攀鋼の企業文化や日々のニュースを迅速に伝える努力をしていますが、こういったやり方に注目が集まっているのは当然のことと言えましょう。

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