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第303回東北振興政策の現状−吉林省−
(2007年11月26日)
吉林省は2006年4月までに2767社の国有企業改革を完了させる一方、交通インフラ整備も、竜嘉飛行場を中心に長白山・延吉・白城・通化各飛行場を補助とした“一主四輔”網を完成、2006年には高速道路を632キロ建設し、松花江にはロシアに直行できる呑吐能力200万トンの港を建設しました。
2005年、第1回「中国・吉林東北アジア投資貿易博覧会」を開催すると同時に、2006年を「工業化の加速と効率アップの年」と位置づけ、旧工業地帯を2010年過ぎまでに国の重要な新型工業基地にする構想が始動しました。同省の主要産業、自動車と石油化学を強化(自動車産業は“一汽”を牽引役に長春自動車産業開発区を建設、一汽フォルクスワーゲン乗用車第2工場・一汽トヨタV6エンジンなどを招致、2010年には完成車生産量を40万台へ発展させる目標を設定、石油化学産業も関連産業の育成・高度化に邁進)する一方、これに農産物加工業も加えた鼎立型産業構造への移行を推進し始めました。
中国の主要食糧生産基地吉林省は2004年、ネックとなる多数の国営食糧倉庫の改革に成功、農産物加工業に本腰を入れ始めました。緑色・有機・無公害農産品(三品)の開発をベースにトウモロコシ・大豆・畜産品・緑色食品・中国医薬・特産品の5大農産物加工品の発展を牽引する企業集団の育成に精力を集中したのです。例えば世界三大産地の一つトウモロコシの豊作貧乏を脱するため、大成グループは2006年に20万トンのバイオエタノール生産ラインを完成。2015年には全省年間生産量の60%以上に当たる1000万トンのトウモロコシの処理が可能に。また、飼料による食肉生産も飛躍的に発展、全国最大の肉牛加工企業皓月は徳恵市に年間屠殺量20万頭の皓徳社を設立、アジア最大の鶏肉加工企業吉林徳大社も8系統300種類以上の製品を開発しました。農産物加工業の販売収入は毎年25%以上増加し、2006年には110億kgを加工、余剰労働力20万人を吸収、2007年には新たな農業産業化集中地区建設計画もスタートしています。
このほか、オイルシェール総合開発(2005年、ロイヤルダッチシェルと吉林シェル油頁岩開発会社を設立)や2007年上半期に前年比84.4%の成長を遂げ、世界最大のアクリル繊維生産基地となった繊維産業、白城の風力発電等、新しい中核産業も芽吹き始めています。