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 第304回中医学界の動向−その1−

(2007年12月3日)

昨今の中医学界には、①国が音頭を取って伝統的中国医学を再評価し、積極的な活用へ舵を切る②中国医学の規範化を進める③海外での認知度を高める④各少数民族の伝統医学の発掘・保存・活用を推進する、といった4つの動向が顕著になっています。
2006年、中南大学の張功耀氏が「中国医学は非科学的で役に立たない」とネット上で中国医学を国の医療体制からはずす署名運動を展開、物議を醸しました。これに対し全国政治協商会議委員張自立氏はその重要性を強調し、「地方の中医薬従事者に公務員待遇を。農村の中医薬従事者の基本賃金を保証せよ。民間中医薬従事者の合法的な職場を確保し、中医独自の認定制度と技術伝承制度を確立せよ。農村に中医薬を主とし西洋医学を併用する新型医療体制を構築せよ。」(人民日報2007.5.11)と提案、また同月、内外500名の中医薬専門家が広州で『神農中医薬発展フォーラム』を開催、中医薬に対する不当な攻撃に抗議する『広州宣言』(中医薬発展宣言)を発表しました。
中国の農村では、医療体制が確立されておらず、これまでその穴を埋めてきたのが30万人に上る民間漢方医。しかし、現行薬品管理方法は化学薬物用の基準を用いているため、伝統的な漢方薬の「丸・散・膏・丹」といったスタイルが認知されにくく使用が減少、また、薬品認定に薬理実験データを求められても、数十万元もの費用は一般の漢方治療院では負担できません。
こうした中、国は漸く中国医学推進・規範化作業に積極的に取り組み始めました。2007年1月、全国中医薬工作会議が開催され、呉儀副首相が自らこれに出席、3項目の指示(①中医薬の継承と刷新の関係を正しく処理し、現代科学を受容しつつ、中医薬本来の科学的内容と学術性を保つ ②臨床を中心に据え、人材の育成と優れた薬品の開発に、産業・学校・研究機関が協力する ③中医薬の優れた特性を発揮し、知財権の強化に努める)を示し、優れた「病院・診療科・医者」を中心とした医療ネットワークの構築や優れた「工場・店・薬」を中心とした漢方薬製造の産業化、『中医薬国際科学技術協力計画綱要(2006−2020)』の具体化などを提唱しました。同時に中医薬学の科学性を明らかにすることを目的とした中国哲学史学会中医哲学専業委員会も中国社会科学院に設けられたのです。

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