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 第306回労働契約法施行へ−その1−

(2007年12月17日)

2007年6月、<中華人民共和国労働契約法>が全国人民代表大会常務委員会で承認され、2008年1月1日から施行されることになりました。1994年の<労働法>、2001年の<労働組合法>に続くもので、8月に承認済みの<就業促進法>、目下立法へ前進中の<労働争議調停仲裁法>にもつながる重要な一歩となり、国内企業はもとより、外資企業にとっても、中国における雇用形態の見直しに本格的に取り組むきっかけとなりそうです。
労働争議の主要な原因の一つがきちんとした雇用契約を結んでいないことです。中国青少年研究センターの1980年以後に生まれた農民出稼ぎ労働者に関する調査では、労働契約を結んでいる若年労働者は62.1%に過ぎず、国有企業の73.8%に対し、民営企業では過半数をわずかに上回る55%にとどまっています。その一方で、労働法について全く知識のない者がまだ15.3%存在し、労働者に対する権利保護教育も急務になっています。
それでは、今回の労働契約法にはどんな内容が盛り込まれたのでしょうか。逐条的に主な項目を拾ってみましょう。
まず、第1章[総則]第4条では、雇用者側が労働者の直接的な利益に関わる重要な規定を制定したり改定する場合は従業員代表大会や全従業員と検討を重ねた後、労働組合または従業員代表と平等の立場で協議し決定する事および結果の公示と告知が義務付けられ、また、実施の過程で労働組合または従業員が不当と認めた場合は、雇用者側に改善を求める権利を持つ、とも記されました。このことは企業に対し必然的にガラス張りの協議システム構築を求めることになることでしょう。
第2章[労働契約の締結]第9条では、強制労働を予防するため、労働者を雇用する際、雇用者側が労働者の身分証明書などの証明書類を取り上げたり、担保を取ったり、その他の理由にかこつけて財物を巻き上げることを禁止しています。

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