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第308回日中関係打開の動き−その1−
(2008年1月7日)
“和風化細雨,桜花吐艶迎朋友,冬去春来早”「そよ風は優しい雨に変わり、サクラの花が色鮮やかに友を迎える。冬が去り、もう春が来た」。この五七五は、2007年4月に日本を訪問した温家宝首相が俳句形式で詠んだもの。温家宝首相はまた、4月12日に日本の国会で行った演説で「昨年10月の安倍普三首相の中国訪問を“氷を割る旅”と呼ぶなら、私は、今回の訪問が“氷を融かす旅”となることを望む」と述べ、これをきっかけに“氷を融かす”という言葉はまさに2007年の日中関係を象徴する言葉となった感があります。
財務省が2007年4月に発表した2006年度貿易統計速報によれば、日中間の貿易額は25兆4276億円で、日本の対外貿易額の17%を超え、日米の貿易額(25兆1608億円)をも上回り、中国は日本の最大の貿易パートナーになりました。また、同年8月に日本政策投資銀行が発表した調査結果によると、依然として70%以上の日本企業が海外投資先のトップに中国をあげており、2007年は既に著しい進展を見せる経済面での相互依存関係に対し、政治レベルの動きが漸く歩調を合わせ始めた年と言えましょう。
温家宝首相の訪日後、6月にドイツで開催されたG8と新興諸国首脳の会合で安倍首相と胡錦濤国家主席が会見、率直な意見交換を行いました。これを受け、同月に秋田県で開催された日中友好21世紀委員会第6回会議では、これらの政治的成果を尊重し、戦略的互恵関係を構築することを旨とする4項目の合意が採択され、直後の20日の人民日報は、胡錦濤主席と中曽根康弘氏率いる日中青年世代友好代表団との会見をトップページで大々的に報じ、全国に向けて日中友好推進の方針を明示しました。
日中国交正常化35周年9月29日の人民日報は、8面から12面まで計5面の大特集を組みました。8面は「2007年日中文化・スポーツ交流年」の全面広告でしたが、其処には硬い握手を交わす35年前の田中角栄首相と周恩来首相の写真と、「あなたは日本人の友人がいますか?中国人の友人がいますか?」という中国語のスローガンが大きく掲げられました。また、11面では、日本のODAがいかに中国の発展に寄与したか、日系企業がいかに社会的責任を履行しているかが、最近の公益活動も含め詳しく紹介されました。
この続きは次回に。