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第309回日中関係打開の動き−その2−
(2008年1月15日)
最近では、2007年11月28日に、中国海軍のミサイル駆逐艦『深圳』号が中国の軍艦として初めて日本を訪問、9年来の懸案が実現したことで、日中間の関係改善を大きく印象付けましたが、特に注目されたのは、12月1日に北京で開催された「日中ハイレベル経済対話」です。日本側からは高村外相以下額賀財務大臣・甘利経済産業大臣・大田経済財政政策担当大臣・鴨下環境大臣・若林農林水産大臣の6名の閣僚が、中国側からは曹培炎副首相を筆頭に、楊潔篪外相・馬凱発展改革委員会主任・謝旭人財政部長・孫政才農業部長・陳徳銘商務部副部長・李長江質量検査総局局長・周生賢環境保護総局局長が出席し、双方は、環境や食の安全といった分野での協力関係構築と知財権保護での協力強化、更には東シナ海ガス田問題解決へ共に努力することなどを盛り込んだ共同文書をとりまとめました。
2007年のこういった流れの締めくくりが福田康夫首相の訪中で、12月27日に北京を訪問して胡錦濤国家主席・温家宝首相などと会談、翌日は北京大学で講演を行いました。その後、天津市や山東省の孔子廟(びょう)を訪問して帰国しましたが、この中で、胡錦濤国家主席の2008年春の日本訪問について意見が一致、1999年以来10年ぶりの中国国家主席の来日が実現する運びとなりました。
29日夜、福田首相は山東省の滞在先のホテルで、「胡錦濤中国国家主席が来年の桜の咲くころに訪日する」と述べ、「日中関係に春が来た。今回の私の訪中は『梅の花を咲かせる旅』だ」と喩えました。
日中両国の関係回復の大きな障害となっていた歴史問題についても、学者間で真剣な討議が進められるようになりました。2006年12月に第一回会議が開催された日中共同歴史研究委員会は2007年にも継続して開催され、日韓間でも同様な動きがあります。
日本の対中政府開発援助は2006年度分の623億3000万円を加え、3兆2701億8400万円に達していますが、新規の有償協力は2008年で打ち切りになります。今後日中関係は成熟した大国同士の戦略的協力関係の構築が求められるわけですが、では、そういった中、中国は日本のどういった側面に目を向け始めているのでしょうか。2007年の人民日報の報道内容からその点を探って見ましょう。