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第310回人民日報2007年日本報道から
(2008年1月21日)
2007年の人民日報からは、日中両国の友好関係を促進しようと言う熱意がひしひしと伝わってきました。国交正常化35周年となる2007年は「中日文化体育交流年」として100項目にも及ぶ多彩な交流が繰り広げられました。日本側が酒井法子さんと福原愛さんを親善大使に任命したことも、4月6日、写真つきで大々的に報じられました。
当然のことながら、日中友好を支えてきた人やエピソード、古くは遣隋使や鑑真・円仁そして魯迅の藤野先生の話、小説家井上靖や画家平山郁夫、更に能や歌舞伎の交流、谷村新司の活動や『無錫旅情』の果たした功績など多くの記事が登場し、友好を象徴する出来事として、日本へのトキの寄贈や泰山と富士山の「友好の山」提携も話題を添えました。
若者の交流を紹介する記事が増えたことも特徴の一つ。卓球や水泳での児童の交流や中国の高校生の日本訪問など様々な相互訪問が紹介され、中でも日本の若者が中国でのボランティア活動に必死に取り組む姿が好意的に取り上げられ、目を惹きました。
焦眉の急となっている環境問題での日本に対する熱い視線は相変わらず。6月5日の世界環境デーにちなむ記事の中では日本に関する記事が目立ち、14日には「日本環境考察紀行」(温紅彦記者)と題する長文の記事が、翌日には第7面全面を使って日本人の環境意識やゴミ処理などの様子を克明に紹介した『日本省エネ環境保護取材記』(于青記者)が掲載されました。年間を通じても、日本のエコドライブへの取り組み・湿地保護の姿勢・エコ市場、更には環境への個別の取り組みなどが次々と紹介されました。
2007年の記事には別の特徴も垣間見えました。一つは日本の様々な長所に積極的に学ぼうという記事:長野オリンピックの取り組み・納税意識・医療保険や老人用住宅の整備・過労への対処・『窓際のトットちゃん』に学ぶこと・広告と景観の調和・都市交通のあり方・町の生き残りの取り組みや職人の伝承・人間国宝の制度など実に様々な分野にわたります。もう一つは日本の抱える問題を客観的に分析し、直視しようと言う姿勢:夕張の教訓・原子力発電所の安全性・ネットオタクの運動不足など、中国にも共通する問題が取り上げられています。2005年は反日や過去の問題に絡む記事が80%以上を占めましたが、2007年は過去に関する記事は全体の10%に満たず、際立ったコントラストを見せています。