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第315回食の安全:過去半年の取り組み検証−その3−
(2008年2月25日)
2007年、政府は食品事故の多発と農村市場の安全性に正面から取り組む姿勢を見せ、商務部は『流通領域食品安全管理規則』を施行して市場に食品の安全を保証する管理制度の確立を求め、農業部は全国農産物品質安全取り締まり活動を継続し、国家工商総局は2007年を『農村食品市場整頓年』と位置づけて『2007年流通段階食品安全取り締まり活動方案』を通達し、国家品質検査総局は全ての添加剤に市場参入許可制を実施する、と各行政機関がそれぞれ年次目標を掲げました。しかしこの事は一方で、中国の食品行政が「一次産品は農業部、流通は工商部、加工企業は品質検査部門、飲食は衛生部、全体の調整は食品薬品監督管理局」という縦割り行政の弊害を抱えていることも示しています。
2007年2月、呉儀副首相は「国務院全国食品薬品取り締り・監督管理対策会議」で、①農村を重点にした食品安全集中取り締り②食品等の安全事故に対する緊急対応システムおよび情報開示制度の確立を含む5つの重点項目を指示し、4月には国務院から『国家食品薬品安全十一五計画』が発布されました。胡錦濤総書記も同月、中共中央政治局第41回集団学習で「農業の基準化と食品の安全は人民大衆の切実な利益に関わり、社会主義現代化建設全体に関わる重大任務」と強調、党を挙げてこの問題に取り組む姿勢を示しました。
その後、5月には国家基準委員会が『農業と食品の安全基準化業務を強化する意見』を発布、7月には『食品等安全監督管理強化に関する国務院特別規定』が公布されて国務院に「製品の品質と食品の安全指導チーム」が発足、更にダンボール肉まん事件後の8月18日には人民日報第6面全面と第7面半分に『中国食品品質安全情況』が克明に掲載されました。
9月から12月までは食品の安全に関する“特殊戦役”が発動され、平行して10月には国務院常務会議で『食品安全法』草案が承認され、11月には中国物品コードセンターと中国食品工業協会による商品安全情報検索・サービスネット「商品バーコード食品安全情報検索プラットフォーム」が正式に始動するなど着々と対策が講じられましたが、そういった最中に今回の焼き餃子事件が起こったことは、政府にとって痛恨の極みでしょう。
まだ原因は特定されていませんが、メンツに拘泥して消費者の信頼を更に損なわないよう、不備があれば率直に認め、改善を図り、将来の糧にする真摯な姿勢を示して欲しいものです。