企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第321回物価の上昇

(2008年4月7日)

2007年、中国はCPI(消費者物価)の大幅な上昇に見舞われました。2005年は1.8%、2006年は1.5%だったのに対し、2007年上半期は3.2%に上昇、6月に4%を越えると8月には6.5%に達し、その後は6%台を記録して2007年全体では4.8%と過去10年間で最高を記録しました。更に2008年1月には7.1%とまたまた大台を突破してしまいました。
物価上昇が庶民の台所に切実な影響を与えたきっかけは豚肉の高騰でした。豚肉は2006年に生産過剰から価格が低迷し、養豚農家の意欲が低下した周期的なツケが廻ってきたことと、南方地区で発生した“青耳病”(ブルーイヤー病)でブタが大量に死亡したことなどが原因に上げられています。実は、消費者物価の上昇、といっても、通常のインフレのように、物価が全体的に上昇したわけではなく、“五升三降”という言葉が示すように、主要5部門では上昇傾向が見られますが、衣料・交通通信・娯楽教育文化用品及びサービス価格は一貫して下降しています。
ここ1年間のCPI上昇の特徴は、食品類の上昇が大部分を占めていることです。2007年8月の上昇率6.5%のうち、5.9%は食品関係が18.2%値上がりしたことによるもので、全体の90.8%にも達しています。5.9%のうち3.4%分は前年比49.0%値上がりした豚肉が占めています。この傾向は2008年1月も同様で、食品関係全体は前年比18.2%の上昇、そのうち豚肉は58.8%も値上がりしています。ただ同じ食品でも、卵が2007年5月に37.1%上昇したのに対し、2008年1月は4.6%と落ち着きをみせ、品目によるばらつきも顕著です。
政府は、7月末以降、豚肉やその他の副食品の価格安定に関する施策を次々に打ち出す一方、市場原理を損なわないよう、極力、強制的価格統制は避ける方針を打ち出しています。したがって、主たる政策は、即席ラーメン業界や石油・天然ガス業界で見られた便乗値上げや価格カルテルの摘発と低所得者層への配慮で、特に後者については、当初、ここ数年の所得アップで消化できると踏んでいた値上がり幅が予想を超えたことで、2007年後半から3度にわたる補助手当の支給が行われています。2008年1月の7.1%は、記録的な雪害で農作物が大打撃を受けたことも影響していますが、本格的なインフレにつながらないよう、なお細心の経済運営が求められています。

三瀦先生のコラム