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第329回2007年以降の環境政策−その1−
(2008年6月2日)
2007年になると、秋に第17回党大会を控え、胡温指導部は春の全人代で悪化する一方の環境破壊に対し具体的な歯止めとなる政策を提示し、目標値の達成に向けた展望を示さなければならない窮地に追い込まれました。こういった背景から、2007年は年初から矢継ぎ早に抜本的な環境対策が打ち出されました。
まず2月12日に、2007年全国主要汚染物質2%削減の目標達成のため、各種環境関係法の改定を含めた6項目の具体的措置が決定され、今後半年毎に全国各一級行政区の主要汚染物質排出状況を公表して世論の監督を受けることになりました。また、3月には、20億元を投入して、科学的な排出削減指標システム・科学的な環境統計システム・厳格な排出削減点検システムを構築することも発表されました。環境保護支出科目が正式に国の予算項目に組み入れられたのが2006年で、2007年は、これをベースに総力を挙げて環境問題に取り組もうという政府の姿勢が現れ始めた年と言えましょう。
4月になると、2008年『第一回全国汚染源一斉調査』の準備作業が始まり、10月には条例も制定されました。また、政府の肝いりで、5月11日からは中国工程学院で長期的な視野に立った戦略方針・対策を検討する<中国環境マクロ戦略研究>も開始されました。
2007年前半は、環境に関する違法行為が際立っている地域に対し許認可を厳しくする“限批”と呼ばれる“環境風暴”が全国的に吹き荒れました。同年7月、国家環境保護総局周生賢局長は、前年同期と比較し、二酸化硫黄の排出量は0.6%下降したものの、化学的酸素要求量は0.5%増で依然厳しい情況であることを認め、取り締まり強化のため、 “5大戦役” の発動を指示、また、環境問題に国を挙げて取り組むには、マスコミや一般大衆の参加が重要である、との認識も急速に広まり、全国10数の都市で一般大衆が参加した“円卓会議”が開催され、住民参加への模索も始まりました。
このほか、2007年は『恒久性有機汚染物に関するストックホルム条約』の履行へ向けた『国家実施計画』の発動や『水汚染防止対策法』改定への動き、浙江省に国内初の汚染排出権取引センターが設置されるといった汚染排出権取引の進展など、様々な取り組みが始まりました。こういった動きが2008年にどう受け継がれてきたかは又次回に。