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第330回2007年以降の環境政策−その2−
(2008年6月9日)
2007年11月27日に全国で初めて環境保護法廷が設立された貴州省貴陽市の清真市人民裁判所で、同年12月27日、水源を汚染した企業に対する初の判決が下され、環境汚染問題が法廷に持ち込まれる動きが漸く姿を見せ始めました。2008年1月18日、中国法律援助基金会が音頭をとった<2008法律援助グリーン行動>が北京で始動しました。環境保護公益訴訟法律制度の確立が急がれる中、『生態環境保護法律援助特別基金』を設立して、環境汚染の被害を受けている一般大衆を法律面から援助しようというものです。中国では、毎年、環境関係のトラブルが10数万件も発生していますが、裁判所に持ち込まれるのはそのうちわずか1%足らず。勝訴となるとさらに寂寥たるものがあります。同月、国家環境保護総局に属する中華環境保護連合会は、2007年に勝訴したモデルケースを発表しました。河南省鄭州の農民の土地が同市内の工場排水によって汚染された事案で、因果関係立証費用として同会が12000元を司法鑑定費として立て替え、原告側の被害額は27401元である、ことが証明され、最終的には原告勝訴となりました。同会では更に2008年中に環境公益法律事務所を設立し、全国弁護士協会と協力してボランティア活動を強化する方針を打ち出しています。
2007年11月22日、『国家環境保護“十一五”プラン』が正式に発布され、その中で政府は、第10次5カ年計画中の目標について、二酸化硫黄の排出量が2000年に比べ27.8%も増大したことや、三河三湖など重点対策地域では目標達成率がわずか60%であったことなどを率直に認め、都市を流れる河の90%が汚染され、75%の湖沼が富栄養化し、30%の主要都市の水源や地下水の水質がⅢ類の基準に達せず、大都市の46%の大気が二級基準に達せず、90%以上の天然の草原が退化しているなどの衝撃的事実を赤裸々に報告しました。そして2010年には二酸化硫黄と化学的酸素要求量の排出量を10%削減するなどいくつかの環境目標を示すとともに、十大環境プロジェクトを行うことを盛り込みました。
こうした流れを受け、2008年1月22日に開催された全国環境保護庁局長会議で、2007年に一時ストップしていた国家環境保護模範の審査を、これまでのGDP指標重視から環境保護指標、特に汚染排出削減を特に重視する方向へ基準を見直して2008年に再開することが決定されたのです。