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第331回2007年以降の環境政策−その3−
(2008年6月16日)
2007年から2008年にかけての動きを象徴するのが、[“緑色信貸”“緑色保険”“緑色証券”“緑色貿易”]の4つの“グリーン”でしょう。“緑色信貸”とは、<環境保護政策法規実施による貸し付けリスク回避に関する意見>(2007年7月30日)で、環境法規に違反した企業に対する貸し出し規制を意味し、“緑色保険”は<環境汚染責任保険の関する指導的意見>(2008年2月18日)のことで、企業の巨額賠償負担のリスク回避と被害者の迅速な救済が主目的になっています。“緑色証券”は同月25日の<上場企業環境保護監督管理業務強化に関する指導意見>を指し、同26日の“緑色貿易”は“双高”(汚染度と環境リスクが高い)6業種141製品を発表、輸出時の税還付や加工貿易の禁止を求めました。
多方面の政策を総合的に組み合わせて実施することで今までにない効果が期待され、“緑色信貸”は既に20余りの省や市で実施方案や細則が打ち出されていますが、地方政府と汚染企業が結託して金融機関に圧力をかけて妨害し、所期の効果とは程遠い現状です。しかし、中国では、現在7555の大規模重化学工業プロジェクトの81%が河べりや人口密集地区にあり、45%が重大汚染事故の危険を孕み、2007年1年間で環境保護総局が通報を受けた突発的環境事件は108件に達しています。2008年春の全人代で国務院の新たな機構改革が行われ、従来の環境保護総局が省に格上げされましたが、その責任はますます重くなっています。
2008年1月9日、国家環境保護総局がネット上で<排出汚染許可証管理条例(意見聴取用原稿)>を公表しました。それによると、汚染物を排出するには<排出汚染許可証>(有効期限5年)と<臨時排出汚染許可証>(有効期限1年)どちらかの許可証が必要になり、排出物の種類や数値・排出方式などが規制されることになりました。4月には<生活ゴミ埋め立て処理場汚染規制基準>など新たに4つの国家環境保護基準も公布されました。
また、消費サイドでの取り組みとして、2007年12月31日に国務院が発した<ビニール製買い物袋の製造販売使用の制限に関する通知>も注目されます。即ち、2008年6月1日から、全国で0.025mm以下の極薄ビニール袋の製造販売使用を制限することになり、また、商店でのビニール袋の無償提供が禁止されることになりました。市民レベルでも類似の新しい取り組みが始まっており、その成果が期待されます。