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第332回日の出の勢い—造船業
(2008年6月23日)
近年、中国の造船業が急成長をしています。2006年には完工積載重量が1440万トンと世界全体のほぼ5分の一に達し、12年連続で世界第三位の造船国となりました(2010年には2100万トン(同4分の一以上)になると見込まれています)。同年の新規受注は4251万トン、手持ち総受注量は6872万トンと世界の24%に達し、輸出量も1171万トンに達しています。この勢いは2007年も引き継がれ、第3四半期までの統計では、完工積載重量は前年比44%増、新規受注も前年比120%増という急激な伸びを示しています。手持ち総受注量では既に日本を抜き、韓国に次ぐ世界第2位になりました。
第10次5カ年計画以来、年率28%の高度成長を続けてきた中国造船業は、2006年8月、国務院常務会議が<船舶工業中長期発展計画>を承認、船舶工業の発展を後押しする本格的且つ総合的な取り組みを始め、既に世界の造船企業トップテンの中に外高橋造船会社(第4位)・大連船舶重工(第6位)・江南長興(第10位)の3社がランクインしています。それに連れて、建造船も従来の小型中型のバラ積み船やタンカーの建設から最新鋭の大型コンテナ船や30万トン級の超大型タンカー・LNG大型輸送船などへシフトしつつあります。
日の出の勢いの中国造船業ですが、解決すべき問題も少なくありません。2007年9月13日の人民日報の記事は、今後改善すべき点として以下の4点を率直に取り上げています。
①先端技術力がまだ充分でないこと。ハイテク面ではまだ国外の設計に頼っている。
②関連産業の発展が不十分。本土化率は40%前後。大型コンテナ船や化学物質運搬船などでは20%にも達していない。
③エネルギーや資源の消費効率が悪い(例:鋼材利用率-日韓92〜95%、中国85〜88%)。
④造船業の拡大速度が速すぎ、健全な発展を阻害しかねない。
2006年5月9月、上海の長興島で、中国船舶工業グループ江南長興造船基地の3本の生産ライン、4つの30万トン級ドックの建設が開始されました。2015年には7つに拡大、年造船能力は800万トンにもなります。また、2008年4月には、初めて中国で建設された大型LNG輸送船が船主に引き渡されました。類似のニュースはこのところ益々増えています。今後、日韓とどう競合し、どう棲み分けまたは連携が進むのか、大いに注目されます。