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 第335回中国、心のケア−その1−

(2008年7月22日)

経済発展と社会体制の改革につれ、労働力の再配置・競争の激化・人口構造や家庭構造の変化が様々なストレスを生んでいます。衛生部によれば2006年に精神疾病は疾病総経済負担率中の20%を占め、第一位になり、WHOは2020年には25%を越えると予測しています。
精神衛生に関する取り組みが顕著になったのは2002年。<中国精神衛生対策プラン(2002—2010)>や中国初の精神衛生地方立法<上海精神衛生条例>が公布され、2004年には<精神衛生対策の一層の強化に関する意見>が出て、地方への衛生経費援助項目の中に重度の精神疾病患者への監督管理治療が加わり、チベット以外の全国30一級行政区に60のモデル地区が設置され、要員訓練に686万元の支出が決まりました。同年9月には教育部全国高等教育機関心理健康教育データ分析センターが成立し、中国赤十字会も全国で3000万人といわれる心のケアが必要な青少年を対象とした“心霊陽光”プロジェクトを開始、大学生への講座を実施するとともに、教師、心理教育従事者の養成にも取り組み始めました。
「心の病」は社会のあらゆる階層に広がっています。2006年の統計では、中国の精神疾病患者は1600万人、同年の<中国6都市一般人不眠状況調査報告>では成人の57%が不眠症で悩み、その約半数が鬱病などを併発しているとのこと。河北省4都市の18歳以上2.4万人に対する調査では、精神障害罹患率は14.04%で、女性が男性を、農村が都市を上回っています。しかし、その対策はお寒い限りで、2007年のデータでも、総合病院の患者のうち半数以上が各種精神障害を併発していますが、その90%は見逃されてしまっています。
各階層別に見てみましょう。まず、ホワイトカラーはどうでしょう。2006年に開設された非営利機構「北京青年プレッシャー管理サービスセンター」が20の企業400名に対して行った調査では、6割がプレッシャーを感じていて、その内16%が「非常に」、44%が「かなり」と答え、内容的には、1位:「仕事がきつい」、2位:「時間がない」、3位:「家庭からの負担」となっています。公務員もプレッシャーに悩んでいるようです。2007年1月、重慶に18名の専門家を配置した中国公務員心理健康ネット(www.psygwy.com)が開設されましたが、国家公務員の54.88%が仕事に倦怠感を覚えていて、これは各産業中トップ。65%が「人間関係のプレッシャーが大きい」と答えています。

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