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第338回就職難とその対策−その2−
(2008年8月11日)
<就業促進法>は中央と地方の役割分担と責任を明確にし、県レベル以上の人民政府には、就職特別資金を設けて各行政区の実情に応じた職業訓練・各種補助・小口ローンなどを行うよう(第15条)求めました。政策面では、国は労働集約型産業・サービス産業の発展を奨励し中小企業を助けるなど就職の拡大を図る(第6条)一方、失業者の起業した企業、身障者を一定以上の割合で採用した企業などへの優遇も盛り込みました(第17条)。第20条では、都市と農村の労働者を平等に扱い、農村余剰労働力のスムーズな転換を図ることを明記しました。以下、第3章<公平な就職>では、男女・民族・身障者・伝染病患者・農村労働者に対する差別禁止を、第4章では労働市場の規範化と充実、就職情報提供システムの整備、第5章では職業教育と訓練の具体的内容を提示、第6章では、特に身体状況・技能レベル・家庭的要素にハンディがある人・失地農民などへの対策を掲げ(第52条)、「就職弱者」に対する配慮も滲ませています。
大学生の就職はどうなっているのでしょうか。政府は2005年以来、大学生の農村部への就職を積極的に推進、2006年は235220人の学生が“三支一扶”計画−支教(育)1万人余り、支農(業)8000人余り、支医(療)2800人余り−に参加したものの、2007年の数字を見ても、農村部への就職はまだ大卒就職者の16.6%に過ぎません。大学卒業生は2001年の114万人から、2007年は495万人、2008年は559万人に達していますが、一方で卒業時の就職率は70%余りを低迷、問題は益々深刻化しています。2007年8月、人事部は1つの目標・5つの重点・10の措置を内容とする<政府人事部門の職能を一層発揮して大学卒業生の就業を促進することに関する通知>を出し、危機感を露わにしました。
中国大学卒業生就業服務情報ネット(http://www.myjob.edu.cn)・人材市場公共情報ネット(http://www.chrm.gov.cn)・中国労働力市場ネット(http://www.lm.gov.cn)・中国中小企業情報ネット(http://www.sme.gov.cn)などネットによる就職探しも奨励されていますが、2007年の大卒初任給は1798元で、1500元以下が半分に上り、既に就職率では、本科生と技術を手にした専科生との逆転現象も起きており、大学そのもののあり方、進むべき方向について抜本的な改革が求められています。