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第339回中台関係の進展
(2008年8月18日)
2008年3月の台湾総統選挙で国民党の馬英九が勝利し、5月20日に就任しましたが、前回選挙の苦い経験から大陸側は様々な実質的支援策を採ってきました。2007年4月、第三回両岸経済貿易文化フォーラムで、①台湾の大学の大陸からの学生募集 ②台湾住民の更に15の専門技術者資格試験への参加 ③港湾・道路の建設や運営への直接投資 などを認める13の措置を発表、7月には国共両党間で台湾企業の合法的権益を保護するための10項目の共同意見が合意しました。農業面では、同年3月20日からゼロ関税品目に新たに野菜11種と水産品8種が加わりましたが、この時点で9つの海峡両岸農業協力実験区と4つの台湾農民起業パークには4500社が進出しており、12月にはこれらの地区で台湾農民が栽培・飼育・養殖・加工などの個人企業を開設することも容易になりました。
総統選直前の2008年2月、医療・教育などの面で更なる優遇措置が追加され、台湾農民起業パークも新たに広東省珠海・湖北省武漢・江蘇省無錫・福建省漳平が追加されました。4月になると馬英九の当選を受けまず司法試験が解禁され、また、春の広州交易会で参加514社中90社を台湾企業が占めたのを受け、同月24日の人民日報には<機遇面前,你準備好了嗎?>「チャンスは目の前、準備は良いか」という記事が掲載されました。台湾の農業委員会も従来の方針を転換、台南県など8県の大陸などへの農産品輸出に対する資金援助を決め、更に養豚業界も積極的な進出を図っています。
2007年、両岸の貿易額は1244.8億ドルに上り、台湾側は755.6億元の黒字で、大陸が最大の貿易・黒字相手になりましたが、2008年の目玉は観光。6月に<海峡両岸チャーター便会談紀要><大陸住民台湾観光海峡両岸協定>に調印、7月4日からチャーター便の運行を、同18日から台湾観光を正式に実施することで合意し実施されました。(当面は、チャーター便は毎週金曜から月曜の4日間、直行便が可能となるまでは香港経由。観光団は一日3000人まで、1団10人以上40人以下で期間は10日以内)。台湾内の銀行では人民元両替業務も始まり(一人一回2万元まで)、一挙に雪解けムードの両岸関係ですが、経済交流や民間交流の進展に対し、政治的な進展がスムーズに行くかは予断を許しません。一歩間違えれば次回の総統選挙で逆戻りの可能性もあり、当面の成り行きが注目されます。