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 第341回考古学上の重大発見—この1年—

(2008年9月1日)

海に沈んだタイムカプセル、沈船。昨年のコラムで触れた南海Ⅱ号と命名された明代の商船からは、その後海賊に備えるための銃砲も発見され、明代の火器の発達振りが偲ばれます。
さて、この1年間も、中国考古学は大発見に沸きました。一つは山頂洞人(約2万年前)よりも古い、今から8〜10万年前の古生人類の頭骨が、河南省許昌霊井遺跡から完全復元可能な形で発見されたことです。この遺跡からはそのほかに旧石器時代の骨器や動物の化石3万点余りが出土しています。
「許昌人」と命名されたこの人骨の発見は、現生人類の祖先がアフリカからやってきたと言う説に対し、大きな疑問を投げかけました。古代人類学者呉新智氏の「現代中国人は北京原人及び彼らと他の人類との交雑によって形成されたのでは」という意見を裏付けられるのか、今後の研究が注目されます。
もう一つ、あの殷墟の発見に勝るとも劣らない、と言われているのが、浙江省余杭の良渚遺跡莫角山周辺で発見された、基底部幅40〜60メートル、東西約1500〜1700メートル、南北約1800〜1900メートル、全長6キロ、囲い込み面積290万平方メートルにも及ぶ、今から4300年以上前の大城壁の跡で、中国で発見された同時期の城壁としては最大級のもの。同遺跡は墓葬形態も6階級近くに分かれ、社会の階層化が進んでいて、莫角山には宮殿に相当する大型建築物も確認されています。専門家の間では、夏・殷・周の前に「良渚朝」を想定する向きもあるほどです。
このほか遼寧省では、約1億2千万年前の、体長わずか25センチという「隠居森林翼竜」の化石が発見されました。このスズメほどの翼竜は歯が既に無く、無歯翼竜の化石としては世界最小と言われています。
考古学的な発掘がブームになっている中国ですが、性急な発掘に警鐘を鳴らす学者もい
ます。2008年4月15付け人民日報で中国社会科学院の劉慶柱氏は、唐の高宗と則天武后が合葬されている未盗掘の乾陵、また付近で兵馬俑などが大量に出土した始皇帝陵などの発掘を主張する声に対し警鐘を鳴らし、現在はまだ、紙・絹・顔料などの保存技術が未熟であり、当面更にはかなり遠い未来においても発掘は控えるべきだ、との見解を示しています。

三瀦先生のコラム