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 第345回露天商の行方

(2008年9月29日)

2008年1月、湖北省の天門市で都市管理員の暴力現場を撮影した人が殴り殺される事件が起きましたが、このような都市管理員の横暴による事件は各地で発生しています。その原因の多くが“走鬼”とも呼ばれる露天商の取り締まりにあるのは周知の事実。都市のイメージアップを理由に露天商に対する取り締まりは年々厳しくなり、都市管理係員との“猫鼠遊戯”「いたちごっこ」は日常茶飯事。その衝突が上記のような事件に発展するのです。
こういった問題に対処すべく、2001年5月に広西チワン族自治区南寧市で初めて都市管理行政処罰権に対する法律が制定されたのを皮切りに、その後各地で類似の条文が制定され、2008年1月1日には北京市で、都市管理の処罰権に関する13の職能範囲と300余りの具体的な事由を定めた法規が施行されました。各地の実情に応じたこういった動きを是認する意見もある一方、全国的な統一法規の早期制定を主張する意見も活発になっています。
ただ露天商の多くは、都市と農村の格差や経済構造の転換などで生活が困窮している社会的弱者であり、取締りを規範化するだけでは根本的な解決になりません。そこで最近では、彼らをうまく誘導して商いの場を与えようという政策が各地で採用されつつあります。例えば河北省成安県ではすでに2006年から都市部の街道を露店設置許容度に応じて3ランクに分ける試みが実施され、広州市では2007年から“跳蚤市場”“走鬼街”などと呼ばれる営業スポットが設けられました。重慶市でも、裏通りや路地などを中心に443箇所の露店設置スポットが設けられ、11169の露店が店開きしました。これらの店は清掃代を除き、場所代・工商管理費は免除、営業月額3000元以下は免税になります。
5万人の露天商がひしめく上海でも問題は深刻。これまで各大通りを、露店“厳禁・大幅規制・規制”の3ランクに分けて管理しましたが一向に効果が上がりませんでした。そこで同市報春路は、住民や露天商から充分意見を聴取した上で、行政と住民が一体となった自治的プロジェクトチームを立ち上げて市場原理を導入した管理システムによる露店設置スポットを設けて見事事態を改善しました。市では2008年中に規制外の露天商を1万人以内に減らすべく作戦を展開中です。ただ、テストポイントは依然11区25街道に過ぎず、中心地区はゼロの状態で、所管部局や経費の出所など解決すべき根本的な問題も少なくありません。

三瀦先生のコラム