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第347回航空網と航空業界−その2−
(2008年10月14日)
2007年の中国航空業界旅客輸送量は前年比15.9%増の1億8500万人、平均搭乗率は76.2%で、全国152箇所の空港中、乗降客1千万人を越える空港は杭州・西安・重慶を加え10箇所になりました。過去数年間赤字に苦しんだ各社も、需要の増大と競争原理の導入による体質強化、更に元高が機材・原油の購入に有利に働き、大幅に経営を改善しています。こうした中、民航総局は飛行場の拡充に合わせ、第11次5ヵ年計画中に国内11本の南北航路と4本の東西航路を新設し、また、新規航空会社の設立申請を2010年まで凍結、申請済み案件の認可上限を毎年3社までとして業界の再編強化と質的向上を促す方針を打ち出し、これに呼応した航空各社の動きが活発化しています。
その一つが四大航空会社(中国国際航空・中国東方航空・中国南方航空・海南航空)が従来の縄張りを越えて支店を開設し始めたことで、中でも海南航空は2007年11月に海南航空・山西航空・長安航空・中国新華航空が合併して国内線最大規模の『大新華航空』を設立、2012年までにブラジルからERJ145機とEMB190機を各50機購入、国内90以上の都市を結ぶ450航路を運行、シェア90%を目指しています。また、2008年3月には中国航空工業第一グループと中国東方航空が共同出資した幸福航空がスタートしました。同社は中国国産旅客機新舟60を主力に、徐々に地方路線用国産ジェット機ARJ21を導入し、8年以内に保有機数を100機程度に拡充、国内路線を開拓していきます。
2007年8月から始まった北京—上海間快速便の成否も注目されています。専用の搭乗手続き業務を提供し、四大航空会社に上海航空を加えた5社のどの便でも搭乗OKというシステムで、平均30分に1本、ラッシュ時は15分に1本利用でき、搭乗30分前に空港に行けばよく、所用時間は従来より2時間短い3時間に短縮されました。今後、買った切符で便の変更がスムーズにいくのか、チケットの種類による変更の可否が注目されます。
もう一つの動きが航空路線の国際化、即ち外資への開放と海外路線への進出です。既に広州・成都・西安・天津など各地に外国航空会社が事務所を開設、一方、中国の航空会社も2007年9月に民航総局が発表した2008〜9年の海外路線分配案に基づき、主要5社が27本の欧米定期航路を申請、さらに南米、アフリカなどグローバルな航空網を形成しつつあります。