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第三十五回 中国ロ−ン事情
-その2:学資ロ−ン-
中国の大学が、従来の“両軌制”(公費生と私費生)から、全員が学費を納入する制度に一本化されるとともに、貧困家庭の子女に対する学資ロ−ンも整備されるようになりました。1998年、政府は最初のロ−ン制度を構築、1999年にまず、北京、上海など8つの大都市で試行され、2000年にはそれが全国的に展開されました。
その間、2000年2月には、無担保に、9月には地域と取り扱い銀行を拡大、2001年には、商業銀行の積極性を引き出すため、利息収入の営業税免除を決めました。このロ−ンは全日制の本科生、専科生、研究生などを対象とし、利子の半分は国が負担するもので、2001年末で、全国で27万人の在校生が契約し、契約金額は24億元を超えました。
現在、高等教育機関の学生の約20%が経済的困難に直面していると言われています。奨学金、勤労学生補助基金、困窮学生補助金、学費減免などの支援項目はあるのですが、充分とは言えず、学資ロ−ンへの期待が高まるわけです。しかし、問題も山積。昨年の統計では、申請した学生のうち、実質契約者は、全体の3分の一に過ぎず、また、7つの省、自治区、55の中央政府直属高等教育機関がまだ学資ロ−ン制度を導入していません。
学資ロ−ンの進展を阻む要素として、主に2つの点が挙げられます。1つは借りて側から見た煩瑣な手続きと厳しい条件です。保証人は二人、家庭の経済状況証明書、学習成績、学習態度、卒業前の貸借関係の再確認が必要。更に返還期限が8年以内ですから、卒業後返還といっても、在学4年間をひくと、後、4年しかありません。4年間、年額8000元借りると、卒業後の毎月の返済額は元金の返済だけで月666元に上ります。
次に貸す側から見たリスク。踏み倒される危険が大きく、銀行側が二の足を踏む原因になっています。昨年末、広東省のある大学が行った調査では、20%の学生がどう返還するか考えていないという結果が出ました。昨年8月、国は、契約不履行者の姓名、身分証ナンバ−の公表、全国個人信用リストへの登録などの方針を打ち出し、今年2月は、更に学資ロ−ン推進に関する通知を出して、リスク管理の一層の強化を図りました。
借り易さと貸しやすさの条件は時に相反するものがあり、どう軟着陸させるか、しばらくは試行錯誤が続くことでしょう。