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第352回気になる自動車業界の動き
(2008年11月17日)
2007年に自動車販売数が879.15万台(前年比22.1%増)、そのうち乗用車が629.7万台(前年比22.3%増)と好調だった中国自動車市場。2008年は1000万台突破が確実視されましたが、上半期こそ乗用車販売は518万台強(前年比18.5%増)とまずまずの数字を残したものの、実態は3月に過去最高の70万台を記録した後、5ヶ月低迷が続き、8月には43.4万台(前年同期比6%減)と減少傾向が顕著になりました。特徴は大部分の消費者が1.0<X<3.0リットルの車に集中したことで、その原因として1)緊縮財政政策による自動車ローンへの影響と企業の資金繰りの悪化。2)ディーラーが資金繰りと在庫減らしのため投売りをした結果、価格が下落し消費者が買い控え。2)株や不動産バブルによる高収入システムが崩壊した影響。3)原油高(6月に16%引き上げ)や物価上昇の影響。などが挙げられます。
省エネ・排出削減を目指す政府は、小型排気量車の消費を喚起すべく、2008年9月1日に大型車抑制・小型車奨励の方針に沿った自動車消費税の調整を行い、排気量1.0までは3%を1%に、1.0<X<3.0は従来どおり、3.0以上4.0までは15%を25%に、4.0<Xは20%を40%に改定しました。そんな折、火を噴いたのが、最近の世界同時不況。各メーカーは国内外を問わず、全面的な生産計画の見直しを迫られています。
同時不況前の7月、トヨタレクサス・ホンダアキュラ・ニッサンインフィニティと日系メーカー中国そろい踏みが報じられ、7月1日には自動車排ガス国家Ⅲ基準(欧州3号基準相当)も実施されて、トヨタがプリウスに加えカムリを投入、ハイブリッド車生産へ意欲を示すなど燃料問題に絡む動きも注目されました。今後数年は産業構造転換期で毎年10%以下の増加率に転換するものの、国内消費市場は2、3級市場の発展による消費層の厚みで手堅い、と予測されていたのです。同時不況の出現で自動車業界の再編は避けられず、国内企業は自主ブランドの淘汰、 外資系企業の中国戦略見直しも急速に進むでしょう。業界全体として相当程度の人員削減は避けられず、関連企業や関連ビジネスの倒産も増えると予測されます。
将来的な市場価値は依然有望な中国ですが、ここしばらくは、広域な販売・サービスネットワークの構築とサービスの質の向上・信頼の獲得、来るべき新燃料車の時代に向けた橋頭堡の確保が重要なポイントになることでしょう。