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第355回焦眉の急!農村政策−その1−
(2008年12月8日)
2004年から2008年までの5年間、党の1号文献はいずれも“三農”(農業・農村・農民)に関わるもので、そのテーマは『農民の増収を促進しよう』『農業の総合生産能力を高めよう』『社会主義新農村建設を促進しよう』『近代的農業を発展させよう』『農業のインフラ建設を強化しよう』でした。その間の成果について、2008年2月14日付の<政策解読>欄は次の8項目を挙げています。
1.農業税・牧業税・農業特産税・屠殺税など農民からの税の取立てを廃止したこと。
2.食糧生産直接補助・優良品種補助・農業機器購入補助・農業資材総合補助などの導入。
3.食糧取引市場と価格の全面開放など、農業の市場化の推進。
4.農村義務教育の全面的推進と無料化の実現。
5.新型農村合作医療制度の全面的推進による農民の医療負担の軽減。
6.農村最低生活保障制度の全面的な確立による貧困農民最低保障ラインの設置。
7.農村の水・電気・道路・ガスなどのインフラ整備に精力を注ぎ、生産生活条件を改善。
8.農民の権利・利益の保護と行政サービスを強化し、都市と農村の平等化を推進。
確かにこの8項目について見当してみると、そのやり方や徹底度・進捗状況のばらつきや直面する困難については検討すべき点が多々ありますが、5年前に比べれば、それぞれ相当の成果を上げており、一定の評価が与えられるべきでしょう。ただ、こういった改革が進む一方で、輸出による経済成長にかげりが生じ、更に国際的な不況という要素も加わって、農村を取り込んだ内需の拡大が切実に求められるようになりました。また、発展途上国型から先進国型への産業構造の改変期に入ろうとする段階に差し掛かり、農村から生じる巨大な余剰労働力をいかにして他分野に吸収していくかも長期的な大問題になっています。土地制度の改革、農業の産業化と経営権の問題、農村金融制度の整備、社会保障面での都市と農村の格差是正など新たな問題が山積していますし、これらの問題は、リーマン以降の不況の影響により職を失った農民出稼ぎ労働者に対する対策としても緊急度が増しています。
2008年10月12日、中国共産党17期三中全会で<農村の改革発展推進に関わる重大問題に関する中共中央の決定>を採択しましたが、その内容はいかに、それは次回に。