企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第357回焦眉の急!農村政策−その3−

(2008年12月22日)

2007年7月1日に<農民専業合作社法>と<農民専業合作社登記管理条例>が実施されて以来、農民専業合作社の発展が加速しています。既に加盟数は3870万(全国農家総数の13.8%)に達し、農業部は「2010年には30%になるだろう」と予測していますが、日本や韓国の農協加盟率90%以上に比べると、その発展はまだ緒に就いたばかり。
この農民専業合作社の役割として期待されているのが農民の融資難の解決。「農家は担保の設定や信用度の証明が難しく貸し付けリスクが大きい」となかなか融資が受けられませんでした。しかし、企業的性質を持った農民専業合作社が間に入ることで金融面での支持が得やすくなります。また、農業の産業化・農業構造の調整・農民の収入増の実現や、果物・魚の養殖・お茶など各地域の特産品の育成も期待されています。こういった合作社を担う人材確保を目指し、2008年春には青島農業大学に全国初の合作社学院が開設されました。2008年9月、全人代常務委員会農民専業合作社法実施状況検査チームによる全国検査が始まりましたが、同法の浸透を推進したい政府の意図の表れと言えましょう。
もう一つ、農村の土地問題も待ったなしです。中国が食糧の安全を確保するには18億ムーの耕地が必要とされていますが、2000年に19.24億ムーあった耕地が2007年には18.26ムーと警戒ラインに落ち込んでいます。国務院は2007年12月に<農村集団建設用地に関する法律と政策を厳格に執行することに関する通知>を発し、“以租代徴”(農民が集団所有している農地を違法に接収して建設用地に転用すること)を戒めるとともに、2008年1月には<用地の節約集約に関する通知>を発し、農村の土地管理の強化を図りました。しかし、2008年に実施された<全国土地取締り百日行動>によれば、“以租代徴”、 開発区の勝手な設置や拡張、認可前の開発開始といった違反はいまだ3万1千件に上ったとのこと。
政府は5月に施行された政府情報公開条例に基づき、郷鎮政府に土地の利用収用に関する情報の公開を求め、チェックの強化を図るとともに、土地請負権や宅地・不動産などを担保にすることが、耕地の減少はもとより、 “失地・失業・失住房”を生み、農民の生存を脅かすことになる、と警告を発しています。今回の<農村の改革発展推進に関わる重大問題に関する中共中央の決定>がどれほどの効果を挙げるか、その行方に注目が集まっています。

三瀦先生のコラム