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第358回世界同時不況対策−その1−
(2009年1月6日)
2007年に顕在化したアメリカのサブプライムローン問題が2008年9月のリーマンブラザーズの破綻で一挙に世界経済を金融危機に陥れたのは周知の通り。年末にはアメリカ三大自動車メーカーを延命するか否かでも世界中の注目が集まりました。
こういった情況下、中国政府はどう対応しようとしているのでしょうか。政策上どんな変化が現れているのでしょうか。数回にわたり、その点を明らかにしたいと思います。
11月始め、人民日報に2008年第1〜3四半期の数字が幾つか矢継ぎ早に紹介されました。
11/4 :広東省9月失業率は全国最低。第1〜3四半期、民間企業は前年同期比14.4%増。
11/7 :第1〜3四半期、輸入実質額は8.1%増(前年同期比8.1%減)、輸出実質額は7.9%増(前年同期比4.5%減)。
11/ 7:江蘇省の紡績服飾第1〜3四半期輸出総額、前年同期比17.3%増。
11/15:農村の供銷社(購入販売協同組合)流通新ネットワークの第1〜3四半期販売総額が前年同期比24.86%増、内需拡大に寄与。
11/10:第1〜3四半期、全国社会消費品小売総額、前年同期比22%増。消費拡大に拍車。
11/10:9月末の全国企業数は前年と変わらず。倒産企業数に見合った起業数を確保。
9月までの統計が出る時期がちょうどこの時期に近いこともありましたが、リーマンショック以降第4段階に突入した世界金融危機の影響を受けて中国政府が具体的な緊急対応策を打ち出し始めたのが10月半ば以降ですから、上半期の数字でカバーできるプラス実績を示すことで少しでも人心を落ち着かせようという意図がはっきりと見えます。
加熱経済の是正と産業構造のモデルチェンジ、各産業内の再編のために2007年来進められてきた中国経済引き締めですが、世界同時不況が重なって薬が効きすぎ、失速が懸念される事態となりました。そんな中国経済を支えるため、思い切った経済政策の転換、内需拡大への舵切りが論議され、7月の政治局会議が、「安定した比較的早い発展」を標榜したのを潮目に明らかに政策が転換され始めました。
リーマンショック直後の9月20日、温家宝首相は、年初にも述べた「今年は中国経済にとって最も困難な1年」という言葉を改めて口にし、新たな取り組みに着手し始めました。