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 第三十六回  中国ロ−ン事情

-その3:農民向け小口ロ−ン-

 今、中国の農村では、新しい生産方式を導入し、収入の増加、生活の向上を図ろう、という機運が高まっており、政府も、東西格差の是正、農村の内需拡大のために、農村の産業化を積極的に推進しています。しかし、問題は費用。そこで農民たちの資金難を解決すべく登場したのが、“農戸小額信用貸款”「農民向け小口ロ−ン」です。
 これは、農村信用社が借り手に対する信用度に基づいて、一定の額と期間内で貸し出す無担保ロ−ンで、中国人民銀行の規定により、定められた範囲内で貸出金利を優遇することが可能になっています。また、“小口”ということで、経済発達地域では、8000〜10000元ですが、後発地域では、3000〜5000元、更には1000〜2000元も可能とのこと。資金難につけこんだ高利貸の横行に対する歯止めとしても効果が期待されていて、2001年末での統計では、全国32312の農村信用社(全体の91%)が農民向け小口ロ−ンを手がけ、累計貸出額は454億元に達し、利用者は農民4人に一人にまでなっています。
 ただ、無担保の信用貸し出しということになれば、当然気になるのが、回収リスクです。今年2月末現在で返却率の全国平均は80%。不良債権化を防ぐ手立ても焦眉の急です。そこで、農村信用社の係員、農家の代表、村の党支部、村民委員会のメンバ−によって審査チ−ムを作り、借り手の信用度を調査、“AAA” “AA” “A”といったランク付けをして、<農村信用社貸款証>という身分証明書を発行することにしました。また、各地では、期限を守って返還した農家が80%以上なら“信用村”、その“信用村”が半数を超えている郷(鎮)は“信用郷(鎮)”とし、優先的に貸付が受けられるようにしています。
 バングラデシュで考案された農民向け小口ロ−ンは、2001年12月に中国人民銀行が<農村信用合作社農民向け小口ロ−ン管理指導意見>を出したのを契機に、中国で独自の発展を遂げつつあります。 今後の課題は、本年、4月8日付けの人民日報<読者来信>欄に投書されたような障害をどう取り除くかでしょう。
曰く、「小額ロ−ンが直面する3大障害-信用の欠如、資金不足、メカニズム上の制約」。
「銀行せっせと金作りゃ、放蕩者が借りていき、借りられない奴間抜け者。借金するのは親父の代で、取立てずっしり孫の肩」。

三瀦先生のコラム