トップ > 現代中国放大鏡
LastUpdate:
第362回家電下郷政策
(2009年2月2日)
農村の生活レベル向上と内需拡大を狙った“家電下郷”(農村に家電を) 政策が始まったのは2007年12月。実験地区に選ばれたのは、農民一人当たりの平均実収入が4000元以上と全国平均をやや上回る山東省、平均レベルの河南省、やや下回る四川省の3省で、これは東部・中部・西部のモデル地区、との意味もありました。カラーテレビ・冷蔵庫・携帯電話の3品について、各品目1台に限り、海外輸出品に返還される13%の増値税に相当する13%の補助が支給(財政負担率:中央政府80%、地方政府20%)されることになりました。
村々通政策により、全国のほとんどの農村に電気が行き渡り、農民の収入も、都市住民に家電が行き渡り始めた1994年のレベルを超えたものの、家電の普及率は都市の80年代末期レベルで、20年の開きがありました。これを2010年には都市の2000年レベルにまでひきあげようというのです。入札が行われ、ハイアールなど21の家電メーカーと国美など15の流通企業がえらばれました。家電メーカーは、アフターサービス網が各県最低一箇所、流通企業は県レベルのカバー率が90%以上が条件で、外資系には圧倒的に不利、加えて、カラーテレビ1500元以下、冷蔵庫2000元以下、携帯電話1000元以下という価格制限から、高級品は対象にならず、外資系の参加は唯一、三星が携帯に参入したのみでした。
2008年10月13日に財政部と商務部が発した<農村向け家電普及事業プランに関する通知>によると、上記の3品目に洗濯機(2000元以下)を加えた農村向け家電政策は4年間実施され、山東・河南・四川・青島の3省1市は2011年11月末まで、内蒙古・遼寧・黒竜江・安徽・湖北・湖南・陝西・重慶・大連・広西の10省市区は2008年12月から2012年11月末まで、その他22省市区と新疆生産建設兵団は2009年2月から2013年年末までを対象期間としました。こういった政策は農村の家電消費を明らかに増加させ、それが他の消費をも牽引しています。一方で、この政策を着実なものとするために、手続きの簡素化、補助金の確実な支給、品質とアフターサービスの保証、品揃えの多様化、農村の需要にカスタマイズした製品の開発が求められています。
今後は外資系も沿海ばかりに目を向けず、農村という巨大な潜在力を秘めた3、4級市場のニーズをよく研究することが必要で、シーメンスは既にその先陣を切っています。