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 第363回中小企業政策−その1−

(2009年2月9日)

世界的な経済不況にあえぐ中、全国の企業総数の99%を占め、工業労働力の75%前後を占めている中小企業をどう活性化するかが大きな問題になっています。
2007年、政府は金融引き締めに転じ、年間で金利を五回、預金準備率を10回引き上げましたが、2008年になると、企業の既存の融資申請に対する見直しが行われ、許可済みの融資さえも取り消されました。多くの銀行が少なくとも10万元、時には100万元の資本金を融資条件に掲げ、中小企業にとっては非常に厳しい環境となりました。融資申請は手続きが複雑な上に中小企業に対する担保条件は厳しく、更に明らかな大企業偏重と民間に対する差別があり、“抓大放小” も“抓大弃小”(中小企業の切捨て)になりがちです。
中国の中小企業は技術革新が遅れ、成長産業においても科学研究開発費用は販売収入の0.31%に過ぎず、発展途上国の平均さえ下回っています。これらの企業にとって、薄利多売型の低級な粗悪品製造から脱却して品質重視型に転換し、なおかつ、近代的な経営スタイルを確立することは喫緊の課題になっています。しかし銀行は、1件についてかかる手間が大企業と変らず、その一方、わずかな利益にしかならない中小企業向け融資業務を嫌います。
こうした状況を打開すべく、2008年2月には、全国初の地域に根ざした中小企業信用再担保機構のモデルケースとして、<東北振興プラン>をサポートする東北中小企業信用再担保会社(東北3省、内蒙古自治区、大連市の共同出資)が発足しました。中小企業への融資の特徴は、「短期間・高い頻度・緊急」が特徴で、これに即応するには、金融機関が各地域の支社(“分行”や“支行”)に融資の権限を委譲し、その個別の対応度を高めることが切に求められ、そういった動きも急速に各地に広がり始めました。
2008年前半までは、環境汚染やエネルギー高消費型の非効率的な立ち遅れた中小企業の強制淘汰といった側面も大きかったのですが、後半になると資金繰りの悪化に加え、生産コストの上昇(原料代・人件費)、輸出の減少に直面して、大部分の中小企業が経営難に陥りました。こうした状況に対処するため、政府は8月以降、漸く中小企業対策に本腰を入れ始めました。また、各地方、特に中小企業の多い沿海地区では、地域独自の対策にも力を入れ始め、具体的な措置を次々と打ち出しました。それはまた次回に。

三瀦先生のコラム