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第三十七回 司法改革の現状
(2002年6月24日執筆)
2002年11月、加筆修正いたしました。
これに先立ち、昨年5月には、国際的な様式に合わせようと、裁判官の服装が従来の軍人警察官風から改められ、末端の裁判官は洋服に、中級法院以上では黒い法服を着るようになりました。赤い襟についた4つの金ボタンは4級制の裁判制度を表すとも、党と人民と事実と法律への忠誠をあらわすとも言われています。また、今年の6月1日からは、規定を設け、法廷で槌が使われるようにもなりました。
これらの改革は何を意味するのでしょうか?1999年、最高人民法院は<人民法院五年改革綱要>を打ち出し、「改革の必要が急務である」、と訴えました。司法活動における露骨な地方保護主義、裁判官の質の低さ、裁判所の行政組織の後進性、このままでは、WTO加盟後に予測されるすさまじい国際化の潮流に対処できない、という危機感によるものです。大法官•大検察官の任命は、司法職を大衆化からプロ化へ、司法管理を行政化から専業化へ導く処置である、と政府は述べています。
昨年10月31日、<国家司法試験実施方法(試行)>が発布されました。それによれば、試験は2002年から毎年実施され、内容は、理論法学、応用法学、現行の法律規定、法律実務、法律職業道徳など。合格者には<法律職業資格証書>が交付されますが、ポイントは、その第2条に、初めて裁判官、検察官になる場合や弁護士資格をとるには必ずこの試験に合格しなければならないことが明記されていることです。そして本年3月30日、全国317箇所で36万人が国による初の全国統一司法試験に挑戦しました。昨年来、裁判の公開、裁判に対する監督制度の改革、裁判官忌避制度、再審制度、判決の執行状況の改善など、あらゆる方面で司法制度の改革が進んでいます。新しい法律のプロたちにかかる期待は大きいわけですが、今後、現任の“しろうと裁判官”との軋轢をどうするか、法の独立を理解しない既存行政組織の根強い抵抗と無理解をどう排除するのか、といった環境整備が改革の成否を左右することになるでしょう。