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第378回大学生の起業促進
(2009年6月2日)
2008年1月、大学生の就職難が話題になりました。全国500万近い卒業生のうち100万以上が就職未決定で、その原因の一つとして、国家発展改革委員会の楊宜勇氏は、大学教育の内容、特に起業教育の不足を挙げ、中国の代表的大学である精華大学でも卒業時に起業する学生はアメリカの23%〜25%に比べ1%に達しない、と指摘しました。
それから1年半近くたち、大学生の就職状況は益々悪化しています。年400万と言われる卒業生の数は年々増加傾向にあり、加えて世界同時不況の荒波が押し寄せ、卒業時期を目の前にして就職が決まっていない多くの学生に対する対応を誤れば、大きな社会不安を醸成しかねません。政府は国有・非国有企業、政府職員、教員など様々な職場の吸収力を高める努力をし、広東省・河北省など全国の自治体は職業訓練基地を設立し、訓練プログラムに吸収して彼らが社会に出るのを一時的に遅らせつつ付加価値をつけるといった措置を講じていますが、その一方で、上記の起業推進にも必死に取り組んでいます。一人が創業すれば3人の雇用を創出するという起業は、現状で不可欠の頼みの綱になっているのです。
既に地方では様々な取り組みが始まっています。上海市では、卒業2年以内の大学生が起業し登録する時に、従来必要だった3万元の資本金を用意する必要がなくなり(創業後3年以内に分納)、個人企業の場合には登録後3年間、登録・管理・許可証などの手続き費用が免除になりました。また、起業相談サービスも始まり、上記の規定が発効してわずか3日で16人の学生が11社を起業した、と報じられています。浦東開発銀行北京支店でも、起業する若者に財政顧問を紹介し金融知識を伝授、資金提供を行うシステムが始まっています。陝西省西安市では大学生の起業に対し期限2年、50万元を上限とする融資制度がスタート、河北省石家荘市では、大卒者が起業する場合、一定の年限で所得税を減免することにしました。山東省のように、就職できず帰郷した卒業生が帰農して事業を起こすのを支援するために土地の再支給制度を始めたところもあります。
政府は4月末までに大卒者の就職に関する5つの規定や措置を打ち出し、また、19の部門が、6月までにネットでの情報提供、就職面談会の開催、職業訓練の強化、西部地区など農村への誘導など11の特別対策を強力に推進する旨申し合わせています。