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 第379回“県” の果たす役割

(2009年6月8日)

全国的な経済発展の進展につれて、このところ、“県”レベルの発展を見据えた行政改革が注目されています。中国の行政区画は、省・自治区・直轄市といった一級行政区の下に、原則的には省→県→郷という3段階の行政レベルが設定されています。詳しく言うと、省や自治区の下には地方の市や県、少数民族の自治県などがありますが、少数民族が集住している地区ではこの中間に自治州が置かれています。直轄市の下には県や区があり、県の下に郷や鎮があります。ただ、直轄市以外でも大きな地方市には県や区があり、また、地域の中心的な市が周囲の地区の発展に与えるインパクトと牽引的な役割を重視して、80年代以降、“市管県”「地方市が県を管理する」と言うシステムが全国的に普及して全国の県の70%にも及び、管理システムから言えば実質的には4段階の行政レベルが存在していました。
しかし、都市と農村の格差を是正することが当面の緊急課題となり、都市と農村の結合が叫ばれる中で、その接点となる県レベルの経済発展が重要なキーポイントとしてクローズアップされてきました。全国的に各種の交通網が整備され、各地域が日増しに密接に連携を深める中、各巨大経済圏はそれぞれの特徴を一層重視した発展の路を探り、それを支えるものとして各一級行政区も特色ある発展を模索し、そのための研究フォーラムも開かれるようになりましたが、更にそれを支えるのが地元に密着した特色ある県域経済の発展であり、その推進こそが実は都市と農村の格差是正の切り札である、と言う共通認識が形成されつつあると言えましょう。2008年に人民出版社から出版された『県域発展与中国現代化』が注目されたのは、まさにこういった理由によるものです。 
“市”が存在することで様々な資金が県まで届かず、各種政策が市レベルで滞り浸透しない弊害は数多く指摘されていました。浙江省では既に1992年頃から一部の市の経済管理権限を県などのレベルに下す改革が始まっていましたが、 “市”レベルを排除し、県に大幅に権限を委譲し、“省管県”(省が県を直接に管理)するこういった改革が今、急速に広まり、現在、20あまりの省で実施されています。これによって市と県は上下関係ではなく並列関係になり、県はより自主的且つ機敏に経済発展プランを立案できると期待されています。ただ、今後、多くの県を省がどのように直接管理するのか、新たな問題も取沙汰されています。

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