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 第381回中欧関係最近の動き

(2009年6月22日)

2009年2月24日から、陳徳銘商務部長を団長とする中国貿易促進団がドイツ・スイス・スペイン・イギリスの4カ国を訪問しました。商務部を始め、外交部・国家発展改革委員会・科学技術部・財政部・工業と情報化部などの政府機関に主要産業分野の関連組織と200名近い企業経営者が加わった大部隊でしたが、これに関連して中国駐EU使節団団長宋哲氏は5月7日付人民日報に<求同存異 共同発展>と題する文を発表、以下のように述べています。
「近年、中国とヨーロッパの関係は、建設的パートナーシップ→全面的パートナーシップ→全面的戦略的パートナーシップと3つのステップを経て、重層的且つ広範囲な対話メカニズムを築いた」「2008年の相互貿易額は4256億ドルに達し、EUは中国にとって最大の貿易パートナー・輸出市場・輸入元・技術供給地、第4の投資元であり、中国はEUにとって第2の貿易パートナーである」「EUはハイテク・高付加価値・資本集約型製品で、中国は労働集約型製品で優れ、中国のマーケットはEUの企業には大きなビジネスチャンスになる」
中国とEUの間にはこれまで様々な貿易摩擦が生じていました。その最たるものが紡績品問題で、2005年には安い中国製品の集中豪雨的輸出にEU側の企業が反発、輸出制限が実施されましたが、それも漸く2008年から撤廃されました。2008年前半はサブプライムの影響で世界経済が予断を許さない中、中国にとってEUの重要性が一層顕著になり、また、オリンピック聖火リレーでのチベット弾圧への抗議が高まる中、ヨーロッパ主要諸国に理解と協力を求める必要も生じ、首脳外交が活発に展開されました。ところが、2008年11月にフランスのサルコジ大統領が「ダライラマに会う」と言って物議を醸し、2009年年初の温家宝首相のヨーロッパ訪問では、フランスは素通りしてスイス・ドイツ・スペイン・イギリス・EU本部を訪問し、最初に述べた促進団もこれに倣いました。
2月8日、局面打開のため政府派遣のフランス友好代表団が中国を訪問、漸く4月1日に両国は共同コミュニケを発表して、フランスは「内政不干渉の原則の基づいて、いかなる形式でのチベット独立も支持しない」事を約束させられました。中国側は実利をかざして譲歩を勝ち取ったわけですが、今後は、促進団が連呼した保護主義反対の声と、最近顕著な中国国内でのあからさまな保護主義的政策との不整合が論議の焦点になることでしょう。

三瀦先生のコラム