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 第384回原子力発電事業の進展

(2009年7月13日)

2008年11月21日、中国にとって9つ目となる福清原子力発電所(福建省福清市)の建設が始まりました。世界経済危機に対処するために中国政府が決定した4兆元の経済対策中の重要項目として、2009年中に50億元の投資を予定、現地経済への波及効果は4000億元にも達すると言われています。中国の原子力発電事業がスタートしたのは90年代からで、1991年に浙江省海塩県で中国初の秦山原子力発電所が発電を開始、1994年には広東省大亜湾原子力発電所も操業を開始しました。その後、1997年以降、電力供給のだぶつきから一時、原発建設は抑制されましたが、経済発展による急速な電力不足から、2003年には党中央が積極的な原発推進の方針を決定し、急速な発展が始まりました。
中国のエネルギー消費では石炭が大きな地位を占め、その依存度は70%を超え、石炭消費量は世界全体の41%を占めています。化石燃料に対する消費構造は、世界の石炭:石油:天然ガス=28.4%:35.8%:23.7%に対し、中国は69.7%:21.1%:3.0%と大きく偏っています。2010年に単位GDPあたりのエネルギー消耗率を2005年比で20%削減するという目標を掲げている中国にとって、石炭の利用技術を高めて環境への負荷を減らしたり(今後100年は充分供給可能)、単位GDPあたりのエネルギー消耗率が日本の7倍、アメリカの4倍、インドの1.5倍という非効率の是正が必要な一方で、水力・原子力・風力・太陽熱と言ったクリーンエネルギーの開発が強く叫ばれるのは当然の帰結でしょう。中でも原子力発電には、火力発電のような原料輸送の問題がなく、また、近年、新疆・内モンゴルなどで続々と有望なウラン鉱が発見され、自国内で充分原料を自給できます。こういった点を踏まえ、政府は2020年には発電総量の5%を原子力で賄う、と表明しているのです。
中国には現在、6箇所の原子力発電所で11基の原発が稼動しており、このほか、2008年までに嶺澳(広東省)、秦山・方家山原発(浙江省)、紅沿河(遼寧省)、寧徳(福建省)、陽江(広東省)などの原子力発電所が拡張又は建設中で、2009年には、山門(浙江省)、海陽(山東省)、腰古(広東省)、栄成(山東省)がそれに続く情況です。こうした中、技術の進歩も急速で、最近では各プロジェクトとも国産化率が80%を越え、第2世代改良型から山門・海陽のように第三世代(AP1000)の技術を導入した原子炉の建設も本格化しています。

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