トップ > 現代中国放大鏡
LastUpdate:
第387回2009年前半の自動車業界−その2−
(2009年8月3日)
1.6リットル以下の乗用車購入への優遇は、この分野が中国企業のもっとも得意な分野であり、なおかつ、市場全体から見ても、2008年の数字で市場の61.54%を占める主力商品であることから決まったもので、其の補助総額は187億元にも上ると試算されています。
2009年1月14日の<自動車産業調整振興プラン>では、更に消費市場の育成第二弾として、2009年3月1日〜12月31日の期間、50億元を投入し、農民が旧式のオート三輪やトラクターなどを小型トラックや1.3リットル以下のミニ乗用車に買い換える場合の補助(“汽車下郷”政策)と、古い車の買い替えにも補助を決めました。
また、技術革新には100億元の特別資金の割り当ても盛り込み、新エネルギー車については、電気自動車と其の重要部品の産業化を強力に推進する方向を打ち出しました。
電気自動車産業化の1例が科学技術部と財政部が1月に打ち出した“十城千輌”電気自動車モデルプロジェクトで、今後3、4年で、全国の10都市のバス・タクシー・公用車などに各1000台の新エネルギー車を配備し、新エネルギー車の産業化を図る、と言う計画です。また、3月14日には北京で中国初の新エネルギー車産業連盟が結成され、北京自動車・北京公共交通グループ・北京理工大学などが新エネルギー車で一致協力する体制が整いました。
ただ、<自動車産業調整振興プラン>の効果は1月はまだ限定的で、1月の販売台数は73.55万台で前年比14.35%減と依然低迷、しかし一方で先進諸国の落ち込みが激しく、初めてアメリカを抜いて世界のトップに立ち、自動車市場としての存在感を示しました。
2月に入ると政策の効果が顕著になってきました。自動車生産販売台数はともに2008年7月以来8ヶ月ぶりに80万台を超え、前年を20%以上上回り、乗用車のみならず、低迷を続けた商用車にも公共工事の増加が拍車となって大幅な改善傾向が現れました。
3月13日、“汽車下郷”政策が正式にスタートしました。中国のオート三輪やトラクターなどの保有台数は約2000万台、小型トラックの2008年の販売台数が100万台前後ですから、一部の買い替えだけでも相当な市場規模になります。其処で問題になるのが、周辺道路やサービスネットワーク、給油所などの整備、更には補助金取得のための手続き簡素化などで、政策が進展するにつれ、徐々にこれらの問題点が浮き彫りにされつつあります。