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第390回裁判所改革
(2009年8月31日)
厳しい経済状況が続く中、社会の不満に迅速且つ適切に対応することは、政権の安定にとって急務。司法の独立が曖昧で、その役割が充分機能していない現状を改善すべく、最近、幾つか目立った動きが見られます。
まず第一は民衆の不満の解消と受け皿整備です。2009年1月、最高人民法院は<5つの厳禁>(当事者・関係者からの接待/弁護士との不正交流/他の裁判への介入/資産価値の鑑定や競売での不正/裁判機密の漏洩)を発表して綱紀の粛正をはかり、年明けには一般民衆の訴訟に対する便宜を図るため、17条の<人民への司法サービス強化に関する若干の意見>を出して、電話やネットでの予約を認め、老人・傷病者などへも配慮すること、更に各裁判所に訴訟手続き専用の窓口を設け充分な対応をするよう求めました。また、傍聴制度の推進と判決文や判決執行状況の公開についても具体的な要求を行いました。こうした動きに呼応し、天津は3月に全裁判所に訴訟サポートセンターを設置、北京は、民衆の行政訴訟擁護に関する18条の<意見>を出し、期限を切って対処するよう強く求めました。
4月、最高人民法院は<民意疎通を一層強化することに関する意見>を通達、同月末には、全国430の裁判所が<民意疎通メールボックス>を開設、最高人民法院もまた5月4日に 同ボックスの開設(zgrmfy_mygt@chinacourt.org)に踏み切りました。更に裁判官違法行為通報センターのサイト(http://jubao.court.gov.cn)も立ち上げました。
情報公開の面では、2009年1月7日に、司法サービステスト裁判所として、北京法院に全国初の司法サービスホットライン(12368)が開設され、河南省高級人民法院でも、1月1日から、2008年10月1日以降に発効した、当事者に送付済みの刑事・民事・行政関係の判決文や関係文書をネット上で公開、安徽省では、2月にネット上で初めて裁判(著作権関連)が実況中継され、8万3000人が視聴しました。今後、プライバシーや国家機密関連事件を除き、重要な裁判は公表する方針だそうです。
2009年3月25日、<人民法院第三次5年計画綱要>が打ち出され、近代的な裁判制度構築へ向けた様々な取り組みが示されましたが、一方で深刻な裁判官不足を補うべく、800余りの西部地区地方裁判所に配置された4725人の裁判官助手の行方も注目されます。