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第391回食品問題、その後の取り組み—その1—
(2009年9月7日)
2008年9月、三鹿乳業のメラミン混入事件で食の安全に関し国中が大騒ぎになった中国。9月14日に三鹿乳業の生産停止、製品の回収を発表した政府は、17日の国務院常務会議で乳製品業界の全面調査を決めましたが、オリンピック終了を待ってから事件が表面化したことに対し、ネット上などでは民衆から厳しい批判の声が相継ぎました。年明けの2009年1月22日に4箇所の裁判所で関係者に対する一審の判決が下され、直接混入に携ったとされる2人の被告に死刑、三鹿グループの田文華元理事長には無期懲役が言い渡されました(3月の2審もこれを支持)。三鹿グループは2月に正式に破産し、また、3月には関連する党・政府責任者など24名に対しても処分が下されました。
この事件は、2004年に起草が始まり、2007年12月以降国務院から全人代に送られて審議に入っていた<食品安全法>に大きな影響を与えました。中国では1995年に<改訂食品衛生法>が施行されましたが、その後も、食品に関わる事件が後を絶たず、その不備が指摘されていました。三鹿乳業事件を受け、2008年9月18日に国は<製品品質監督検査免除管理規則>の廃止を決定、更に<食品安全法>草案の内容の大幅な変更に踏み込みましたが、それについては次回に詳しくご紹介しましょう。
三鹿乳業事件は国民の食の安全に対する意識をいやがうえにも高めました。11月27日の人民日報第14面は全面を使って、遺伝子組み換え作物が如何に安全であり、また中国にとって必要か、を力説しましたが、遺伝子組み換え作物に対する議論が国民の間に広まることを恐れて先手を打った事は推測に難くありません。その一方で、事件が続発する食品添加剤については、12月10日から政府9部門合同で4ヶ月に及ぶ食品添加剤取り締まり特別活動を発動、専用電話や専用電子メールボックスを設けて国民に積極的な通報を呼びかけ、2月15日には、17種類の違法な食品添加剤と過剰に使用しがちな10種類のブラックリストを発表しました。
関係法律の整備、食品に関する様々な基準の整備、監督管理体制の整備や強化に力を注ぐ一方、農産物や飼料の安全にも力を入れるため、農業部は2月から1年間にわたる、七つの領域に及ぶ品質安全活動を開始しました。