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第396回中露関係の動き
(2009年10月13日)
今年は中華人民共和国成立60周年の記念の年で、十干十二支に基づいて計算すれば暦が振り出しに戻る還暦になり、盛大な記念行事が繰り広げられましたが、中ロ関係も、中ソの時代を含めると、まさに国交樹立60周年になります。両国は2006年と2007年に、互いに相手国をテーマにした国家年を催行し、引き続いて今年はロシア語年、2010年は中国語年を互いに行うことになり、2009年3月27日、北京の人民大会堂でロシア語年の開幕式典が挙行されました。この行事は、政府機関や社会組織、経済界がこぞって参加する大規模なもので、中国国内22の一級行政区、26の都市で260に上るイベントが繰り広げられます。来年は中国語年ですが、現在ロシアではすでに100あまりの大学に漢語専修課程があり、其のうち40箇所あまりでは第一外国語に指定されています。
中ロ両国は、1996年に戦略的パートナーシップを構築して以来、その後成立した上海協力機構の創設などを軸に相互理解を推進、2001年7月には「同盟を結ばず、対抗せず、第3国を標的にせず」という前提の下、「中ロ善隣友好協力条約」を締結しました。また、2004年には長年紛争の火種になっていた中ロ国境問題に決着をつけ、<中ロ東部国境補充協定>を結び、これに基づき、2008年9月には大ウスリー島の中国側およそ174平方キロが中国に返還されました。同時に「中ロ善隣友好協力条約」の実施綱要(2009-2012年)も批准され、こういった動きの中で、2009年1月には<国境を跨る水の合理的利用と保護に関する協定>が、4月には<石油領域政府間合意>が成立、今後、天然ガス・核エネルギー・電力・石炭などの領域でも協力を広げてゆく方向が確認されました。
中国とロシアは世界の面積の26%、人口の42%を占めるBRICsのメンバーとしても存在感を強めており、2009年7月には“和平使命−2009”と題する共同軍事演習を実施、其の力を誇示していますが、この両国の間にも様々な問題が横たわっています。其の一つが6月29日にモスクワ最大のチェルキゾフ市場が突如閉鎖された問題で、中国側は高虎城商務部副部長を団長とする代表団を急遽派遣して事態の収拾に当たりましたが、“灰色清関”と言われる非正規の通関による安価な中国製品の流入からロシアの業者を守るのが目的と言われる今回の措置は、経済危機中でお互いがせめぎ合う場面もあることを示唆しています。