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 第399回下郷政策実施の現状と問題点−その1−

(2009年11月09日)

2007年末に始まった家電下郷政策の2008年の進展状況については2009年2月のコラムで詳述しました。その2月1日から同政策は全国に拡大され、対象も8種類に増え、同月19日には電子レンジがこれに加わって現在では9種類(カラーテレビ・冷蔵庫・洗濯機・携帯電話・給湯器・エアコン・パソコン・電子レンジ・クッキングヒーター)12品目6700タイプに及んでいます。更に補助対象も各種類1台から2台に緩和されました。
この結果、家電下郷政策による2009年上半期の販売台数は961万台、補助金総額は13億元に達し、6月の販売台数は2月の3倍になりました。こうした統計数字を見ると政策効果は歴然としていますが、この過程で種々の問題点も顕在化しいてることも事実です。では一体どんな問題が生じ、どんな対策が打たれているのでしょうか。
問題点の第一は様々な悪徳商法です。4月に北京市公安局は20もの電話詐欺グループの摘発を発表しましたが、其の手口の一つがニセの家電下郷商品を絡めたもの。偽物の手口もいろいろあって、紛らわしい名称を使ったもの(例:Philips→Feilip)や部品を寄せ集めて作った粗悪品が目に付きます。こういった現象に対し、政府は2009年8月から、僻地や山間地区、少数民族地区を重点に<家電下郷詐称偽物粗悪品全国一斉特別取締り>(〜2010年2月)を始めました。
農村の問題の一つが農民たちに偽物やペテンを見抜く力がなく、それゆえ格好の餌食になっていること。蘇寧電気による<2009年中国農村家電消費調査報告>の数字では、いまだ39%のユーザーが家電下郷政策を知らず、35.6%の農村消費者は中身を理解していない、とも(2009.5.2付人民日報)。そこで、交通の便の悪い山間地区に「農民権利擁護連絡所」を設置して偽物を判別する訓練を始めたり、消費者からの通報ホットライン12315の活用を奨励したりする省も増えています。
金銭上の操作も多発しています。家電下郷製品は一般向けより安いはずですが、河南省の事例では860元の家電下郷製品の携帯が別の一般店で480元で売られていた、との事。家電下郷製品を店の主人が勝手に剥がして自分の農民の身分を利用して補助金を詐取する手口も蔓延。これなら簡単にはばれません。

三瀦先生のコラム