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第400回下郷政策実施の現状と問題点−その2−
(2009年11月16日)
家電下郷政策の問題の一つが補助金交付手続きの煩瑣なこと。そこで政府は<家電下郷操作細則>を制定して手続きの簡素化に乗り出し、2009年5月から7月末にかけ16の一級行政区などで試行、その後全国的に推進する方針を打ち出しました。これによって、従来1ヶ月以上かかった交付が、申請後15日以内(休日を除く)に受けられるようになるとのこと。
安徽省の農民の95%が上げたのが、一度故障したらなかなか修理してもらえない、と言うアフターサービスの問題。サービス店は多くの企業が県レベルに一箇所置く程度です。
また、家電下郷政策対象品は最高価格の限度が決められており(例:カラーテレビ3500元、冷蔵庫2500元、洗濯機2000元など)、更に「落札時の提示価格や市内販売価格より高値で売ってはならない」という制約があるものの、売る側はこの網の目をくぐって弱小メーカーの安い製品を売ることで利益を上げる動きも見せ、「数年後にこれらの企業が倒産したらアフターサービスはどうなるのか」といった心配も出てます。もちろん、こういった心配をビジネスチャンスと捉える企業もあり、例えば海信グループは全国16000の郷鎮サービス拠点にインフォメーションセンターを設置、24時間体制で方言対応サービスを実施し、更に車による農村巡回サービスにも取り組み始めています。
模造品が関わる問題も小さくありません。携帯の場合、1000元という上限価格では高度なサービスがある携帯は対象になりませんが、ここで問題なのが市中に公然と大量に出回っている安い模造品。1000元以下でもっと機能が高い携帯が楽に手に入ります。おかげで吉林省のある市では家電下郷政策による携帯販売台数はゼロが続いているとも。
様々な問題点が指摘されていますが、大局的に見ると、家電下郷政策が農村の流通体制に大変革を惹き起こしていることは事実です。山東省などの先進地域では既にこの政策の進展に伴ない、農村を網羅した配送体制、販売・サービスネットが整備されつつあり、ここ数年でこういった動きは全国に広がるでしょう。既に国美・蘇寧などの量販店が農村に積極的に進出し始め、シーメンス・サムソン・パナソニックなどの外資も農村に流通ネットワークを構築しつつあります。「農村を制するものは天下を制する」が現実になってきた中国。口コミが全ての農村市場で、アフターサービスの良し悪しは決定的な要素になるでしょう。