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 第401回続く国内地下資源開発

(2009年11月24日)

2009年8月28日付の人民日報は『緑色経済が“エネルギー金属”の地位を高める』という大きな記事を掲載、日本企業のリチウム電池への取り組みとリチウムの埋蔵量が世界の半分を超えるというボリビア政府の動向を詳細に伝え、「一部の学者は、20世紀が鉄鋼の世紀と言うなら21世紀は電子とリチウムの世紀だ、と言っている」と結びました。南米を中心にオーストラリア・ロシアなどが主要産地のリチウムですが、中国もチベット自治区や青海省などで生産を強化しつつあります。電気自動車が主流になった暁には中国の自動車企業が世界をリードすることを目標に90年代から国家的な取り組みを始めていた中国がリチウムに重大な関心を持つのは当然です。リチウムに限らず様々な金属、特にレアメタル関係の応用範囲は宇宙開発・医療・電子・冶金などあらゆる産業分野に広がっており、その確保はどの国にとっても将来の命運にかかわりますが、従来から大西南や天山山脈の麓などレアメタルを豊富に産出する中国は、その強みを更に強化すべく国を挙げて鉱物資源の探査に取り組んでおり、このコラムでも319号と320号でここ数年来の取り組みと成果を紹介しました。
その後、国の開発方針に従い、各地方別にも具体的な探査が始まっており、2008年10月には国土資源部と黒龍江省が同省の重要鉱産資源前期調査で合意し、全国重点鉱産地区に指定されている大興安嶺地区の探査がいよいよ始まりました。また、2009年7月には、同様な形で河南省でも、鉄・アルミニウム・マグネシウムなど豊富な埋蔵が見込める同省西部地区の探査に関する覚書が交わされています。また、経済危機による鉱物資源探査に対する民間の投資不足を補うため、中央地質探査基金も増額されています。
2009年5月、「遼寧省の本渓で確認埋蔵量が30億トンを越える(推定埋蔵量76億トン)超大型鉄鉱が発見された」というニュースが伝わりました。今後50年にわたり採掘が可能で、将来的には遼寧省の鞍山・本渓などの大型企業の生産量を賄えるというこの鉄鉱の発見は、多くを輸入に頼ってきた中国にとって有利な条件を作り出します。この他続々と報じられる各種鉱物資源の発見は、急速に進む鉄道や港湾など輸送インフラの整備と相俟って、今後の経済発展を支える大きな柱になるでしょう。一時低迷した有色金属業も政府の備蓄強化による支えを経て7月には好転の兆しを見せ始めました。今後の動向が注目されます。

三瀦先生のコラム